『最低賃金1500円』5年以内に実現可能? 人件費が8000万円増に「会社がなくなる」と経営者
■「徳島ショック」全国最大の上げ幅の裏には“人口流出”
実は「急激な時給アップ」を今、まさに実践している県があります。 それは徳島県です。2023年度の最低賃金は全国ワースト2位。そこから急激アップを果たし、「徳島ショック」と言われるほど。 11月の改定で980円になり、84円という全国最大の上げ幅です。 街の人から聞こえて来る声も、弾んでいます。 【徳島県の大学生】「基本給が940円から1020円、80円上がりました。めちゃくちゃありがたいです」 【徳島県の大学生】「時給上がりました。上がった分はクリスマスまでに彼氏が欲しくて、自分磨きをがんばろうかなって。美容院行ったり、コスメ買ったり、お洋服買ったりしようかなって」 「徳島ショック」をもたらしたのは、この人の強い危機感でした。 【徳島県 後藤田正純知事】「賃金っていうのは、極めて生活に関係する。そして、それは地方の存続というものに関係するもの」 徳島県が直面しているのは、歯止めがかからない人口流出。さらに、賃金が高い兵庫県や大阪に働きに出る人もいる現状があります。 【徳島県 後藤田正純知事】「人材確保を是が非でもやらなきゃいけない。これはもう大競争なる“地方創生戦国時代”。そのために徳島の働き方、給料は素晴らしいんだと、こういう環境をまず作るっていうことですね」 知事に最低賃金を決める権限はありませんが、後藤田知事は、審議会に異例の要請を繰り返し、結果、徳島県の最低賃金はワースト2位から27位に急上昇しました。
■企業は賃上げ賛成も「上げるスピードが早い」
「徳島ショック」を、企業側はどう受け止めているのか。 【タンタンヨーグルト工房 大上順市代表】「(賃金アップは)むしろ大賛成なんですが、ちょっと賃金の上がり方のスピードがあまりにも早すぎやしませんか、というところ」 ヨーグルトの製造・販売を行う会社では、11月からパートの時給を900円から1000円に上げ、人件費の占める割合が10%増えました。 その分、もうけを増やしたいところですが、人件費増を受けて、予定していた業務用冷凍庫の購入をやめました。 【タンタンヨーグルト工房 大上順市代表】「設備投資として貯めておいたお金を取り崩しながら、人件費に回していく事になっていくだろうと思うので、設備投資ができるかが不安ですね」 「徳島ショック」の実情を見ると、現状の全国平均から400円以上アップしないと達成できない“最低賃金1500円”という政府の目標は、夢のまた夢なのでしょうか。 【しゅふJOB総研 川上敬太郎研究顧問】「目指す数字としてはいい数字だと思うし、時給1500円に見合うような生産性を高めましょう、ということになっていけば、企業の生産性が上がるので、さらに商売がもうかって、売上利益を上げれば、すごくいい循環がまわる」 好循環に乗れるのか…。“最低賃金1500円”の実現には、これがカギとなりそうです。 (関西テレビ「newsランナー」2024年11月20日)