久留米市の3河川、「特定都市河川」に指定 福岡では初
福岡県は24日、浸水被害が頻発してきた久留米市の市街地を流れる金丸川、池町川、下弓削川の3河川を「特定都市河川」に指定した。2021年に法改正された「特定都市河川浸水被害対策法」に基づくもので、県内では初指定。指定により、流域で1000平方メートル以上の土地を開発する際は、雨水貯留施設の整備など河川への雨水流出を抑える対策が義務化され、流域全体での治水対策を強化する。 同法は、著しい浸水被害が発生するおそれがある都市部を流れる河川や流域の浸水対策を推進する。 同市では18年の西日本豪雨以降の7年間で6回もの豪雨・大雨被害が発生。指定された3河川を含む筑後川支流の内水氾濫により、住宅や農地などが大きな被害を受けてきた。 18年の豪雨を受けて、国・県・市は20年、3河川流域の総合内水対策計画を策定し、調整池や放水路整備などのハード対策を進めてきた。しかし、気候変動により水害が頻発化し、激甚化も懸念される中で、河川改修だけでは浸水被害を防ぐことは困難となっている。開発により水害リスクが増えることがないように、指定で土地利用の規制を強化する。 規制では、雨水の流出増を伴う1000平方メートル以上の開発行為をする場合は、雨水貯留施設の整備など対策をとることが開発する事業者などに義務付けられる。例えば田畑を宅地にしたり、舗装して駐車場にしたりする場合に市の許可が必要となる。また、指定により、河川改修する際に国の予算が得やすくなったり、市町村などによる雨水貯留施設の整備への国の補助率がかさ上げされたりするメリットもある。 今後は国や県、市などで協議会をつくり、具体的な対策を盛り込んだ流域水害対策計画を策定する。 ◇他3河川も指定向け協議 県は24日に指定した3河川の他に、久留米市やその近隣自治体を流れ、度々浸水被害を引き起こしてきた▽山ノ井川▽大刀洗川▽陣屋川――の3河川の特定都市河川への指定に向けて、流域自治体と事前協議を進めている。また、23年に大きな被害が発生した巨瀬川も検討の対象となっている。これらの河川は流域が複数の自治体に及ぶため、周辺市町村も含めた協議が必要だ。 久留米市の原口新五市長は24日、「特定都市河川への指定で、雨水の流出の増加を抑制できる。線状降水帯がどれだけ発生するかわからないので、できる対策を全てやりたい。周辺市町村との協議も努力し、できるだけ多くの河川を指定してもらいたい」と述べた。【高芝菜穂子】