初代「NSX」の起源はピニンファリーナにあった!? 発表から40年を経てホンダのコンセプトカー「HP-X」をレストア…正式にNSXとの関係が明らかに
革新的なドアレスのスタイルに、今では当たり前の先進技術を先取りして搭載していた
HP-Xコンセプトは、当時の「ラルト・ホンダRH6」に搭載され、F2レースシーンを席巻したレーシングエンジン「RA260」シリーズをベースとした80度V型6気筒2.0L・4OHC・24バルブエンジンをミッドシップに搭載するとともに、「グラウンドエフェクト」を含む高度な空力特性と、革新的な冷却ソリューションを採用していたという。 また、コンセプトカーらしくドアの備えは無いものの、代わりにジェット戦闘機スタイルの、取り外し可能なシングルピースのパースペックス製キャノピーを特徴としていた。 さらにキャノピーの後部は、流線型の美しいスタイリングを強調すること、およびドライバーが制御するエアブレーキとして機能することからなる2つの主要機能を備えたフェアリングに継続している。 さらにHP-Xの開発にあたっては、ハニカムパネルやカーボンファイバー、ケブラーなどの代替素材の最先端の使用を検討し、軽量化と性能の向上を実現したとのことである。 いっぽうインテリアは、広範なスタイリング研究により、快適性、人間工学、機能性を新たなレベルに引き上げたとのこと。ホンダが開発した「エレクトロニック・ドライブ・サポート・システム」は、リアルタイムテレメトリーやGPS、さらには専用ソナーによる道路状況警告など、今日では当たり前の技術となっている先進機能を先取りしていた。
ホンダとピニンファリーナの革新的なスピリットの証
「ホンダHP-Xは、コンセプトカーを通じて革新的なアイデアを提示し、未来のトレンドを設定するピニンファリーナのユニークな能力を示す好例」 と、ピニンファリーナのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるフェリックス・キルベルトゥス氏は、今回のペブルビーチ出展に際して発信されたプレスリリースにて述べている。 「ピニンファリーナでは、卓越したデザインの価値をすべてのプロジェクトに注ぎ込むよう努めています。これにより、コラボレーションするブランドの本質は損なわれず、自信を持って先を見据えています。HP-Xはそのまま生産されませんでしたが、その後のホンダ製モデルたちや、より広範な自動車業界への影響は否定できません。これは、ホンダとピニンファリーナの革新的なスピリットの証であり、自動車業界の将来の発展を鼓舞するものだったのです」 くわえて、テクノロジーの進歩に重点を置いて設計されたHP-Xコンセプトは、野心的な新しいアイデア、テクノロジー、エンジニアリング原理のテストベッドとして機能し、これらはのちに「ホンダ」や「アキュラ」ブランドのモデル、とくに数年後にデビューしたミッドシップ2シーターの初代NSXに活かされてゆくことになったといえるだろう。