日本で白・黒・シルバーのクルマが人気な理由は「下取り査定額」と「納期」の影響だった!
乗用車では白・黒・シルバーから車体色が選ばれることが多い
日本おけるクルマのボディカラーは、白、黒、シルバーあたりが定番となっている。「冠婚葬祭問わず乗っていける色」として赤系など派手な色を敬遠する動きもあり、欧米人ほど自己主張しないとされる日本人らしい選択ともいわれていた。筆者も現在の愛車であるカローラのボディカラーはシルバーメタリックなのだが、圧倒的に汚れが目立たないという点も大きいようだ。 【写真】まるで美術品のような塗装! ジョン・レノンの愛車だったロールス・ロイスが凄い(全11枚) 白や黒系では追加料金のかかる「オプションカラー」である、「パール塗装」系の人気が高い。ソリッドホワイトは車種を問わず営業車両などの定番カラー。ソリッドブラックは塗装が弱く、軽くウエスでふいただけで表面に傷がつくデリケートなものだが、それでも好きな人が多い。 いまどきはボディコーティングをかけるのが当たり前のようになっているので、昔ほど神経質になる必要はないが、とくにソリッドブラックはいまでも敬遠気味となっている。ミニバンの世界では、パールブラックかパールホワイトが「お約束」となっており、これ以外のボディカラーの場合は下取り査定額がぐっと下がることを回避できないともいわれている。 ただし、ここのところは軽自動車やコンパクトカーなどでは定番色ではないボディカラーも豊富に用意され、それが選択されている。筆者もディーラーで軽自動車の見積りを取るときは、カスタム系のボディタイプならばパール系のホワイトがブラックを選ぶが、標準シリーズではシルバーなどでは地味すぎてほかの色を選びたいという気もちになる。軽自動車やコンパクトカーではセカンドカーニーズや女性ユーザーも多く、ほかの車種よりも個性的なボディカラーを選んでも再販価値に大きな影響を与えない傾向もあるので冒険して選ぶ人も目立っているようである。 コンパクトカーに限っていえば、会社の営業用やレンタカー、カーシェアリングなどでもよく使われることもあり、もともと再販価値が際立って低いので、あえてそこにこだわることなく自由にボディカラーを選ぶということもあるようだ。 トールタイプの軽自動車のカスタム系シリーズでは、パールホワイトやパールブラックがメインともいえるのだが、調べてみるとほかにもボディカラーは用意されている。たとえばホンダN-BOXでは6色あるなかでクリスタルブラックパール以外はオプション、つまり追加料金が発生してしまう。スペーシアカスタム・ハイブリッドGSでは7色あるなかで2色がオプションとなり、さらに人気のホワイトパールがオプションなのに対して黒系パール色は標準色となっている。 つまり、ボディカラー選択が必ずしも購入者個々の好き嫌いだけで選ばれているのではなく、「追加料金がかかるのか、かからないか」という面での考慮も入ってくる。 さらに決定的なのが納期となる。オプションかどうかは別としても、販売現場で「よく出る」とされるボディカラーは先行生産していることも多く、納期がほかの色より圧倒的に早いことが多い。そのような理由で偏ったボディカラーに流れることとなり、それが人気カラーとして世のなかに紹介されているともいえるのである。受注生産販売(注文を受けてから生産開始する)が大原則の日本ではより効率的な生産が求められているので、その点で「人気ボディカラーの誘導」はやむを得ないのかもしれない。 その点、世界では在庫販売がメインとなっており、ディーラーのストックヤードにある在庫のなかからお気に入りのボディカラーを選ぶことになるので、日本ほどボディカラーの偏りはないように感じている。