センバツ2022 1回戦 広商、連なる猛打 /広島
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第5日の23日、20年ぶり22回目出場の広島商は1回戦で丹生(にゅう)(福井)と対戦し22―7で大勝した。自慢の打線は16安打の猛攻で大舞台でも鋭いスイングを見せつけ、守備も失策ゼロで登板した4投手をもり立てた。8強入りした2002年春以来の校歌が甲子園に響いた。2回戦は鳴門と大阪桐蔭の勝者と、第8日第3試合(26日午後2時)で対戦する。【根本佳奈、池田一生】 初戦ゆえの緊張で序盤は硬さもあったが、試合の流れは譲らなかった。 先制しつつも1点を追う展開となった二回2死一、三塁。5番竹下の強烈な打球は相手のグラブをはじき、強襲の内野安打となって同点に。母佳代里さん(51)は「チームに貢献してくれてうれしい」と手をたたいて喜んだ。続く6番松浦の2打席連続の左前適時打で勝ち越し、相手のミスもありこの回一挙5点で相手を突き放し主導権を握った。父正行さん(45)も「結果を出せてうれしい」と笑顔を見せた。 先発保川の制球が定まらず、一回に3点先取するも逆転される苦々しいスタート。だが植松は「まだ序盤だから大丈夫」と保川に声を掛けた。保川は冷静さを取り戻し、五回途中までを抑えて伊藤祐に引き継いだ。 早々と相手先発の井上を攻略した打線は、後を継いだ4投手からも着実に得点。八回にはこの試合3盗塁の2番八幡が満塁から三塁打を放つなど打者一巡の猛攻で攻撃の手を終始緩めなかった。八幡は「自分たちのつなぐ野球を貫けた」と自信を深めた様子だった。 荒谷監督から「変化球の見極めの徹底」を指示された打線は15四死球を選んで指揮官の作戦を遂行。終わってみれば16安打22得点の圧勝。しかし、植松は「まずは目の前の1試合を全力で戦う」と2回戦を見据え、気を引き締めた。 保川の母志津代さん(55)は「2回戦以降も思い切り頑張って」と期待を込めた。 ◇スピリット響け 〇…3年ぶりに演奏が認められたアルプス席。吹奏楽部員9人にOB・OG8人が加勢し、「広商スピリット」「宮島さん」など17曲を披露して選手を鼓舞した。コロナ禍のため球場で応援演奏した経験がなかった後輩たちを助けようと、3月に入ってから一緒に練習していた。2019年夏の甲子園で演奏したOBの石橋永多さん(18)は「甲子園で後輩とともに演奏できることに感謝している」と喜びをかみしめた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇無失策、逆転から一気攻略 攻守の役割きっちり 松浦太河捕手(3年) 3安打3打点で強打の捕手ぶりを見せつけた。一回は2死二、三塁から、しぶとく左前に運んで2打点。二回も勝ち越しとなる左前打。「ボールを打つポイントを、できるだけ近くにするよう意識した」のが功を奏し、八回にも左前打を放つなど逆方向へのコンパクトな打撃が光った。 試合開始直後の守りは「落ち着いてできなかった」といい、二回に4点を奪われた。しかし、荒谷監督から「焦るな」と声をかけられて落ち着きを取り戻し、4投手をリードして八回まではゼロを重ねた。 この日は17歳の誕生日。チームメートからも祝福された。「次も投手に自信を持って投げてもらえるようリードしたい」と次戦を見据えた。