考察『光る君へ』14話 兼家(段田安則)が逝き、道隆(井浦新)の独裁が始まる。道兼(玉置玲央)は絶望、道長(柄本佑)は奮闘
キラキラ貴公子伊周、腹をつままれる実資
道隆の長男・伊周(これちか/三浦翔平)の出木杉君ぶり。顔よし血よし頭よし。キラキラした貴公子ぶりだが、父上母上の言うとおり、全て「お任せいたします」でよいのか……権力を手に入れるためにはどんなえげつないことでもした、なりふり構わなかった兼家から家督を受け継いだ道隆、それをまた受け取る嫡男として、ここまで上品でお行儀がよくて両親の言うがままなお坊ちゃんで大丈夫なのかと、思わせるのが上手い。 実資(秋山竜次)と新しい妻・婉子(つやこ/真凛)女王。為平親王の姫で母は源高明の娘なので、道長の妻・明子の姪にあたり、花山帝(本郷奏多)の女御であった女性だ。高貴なお血筋だが、夫の腹を愛でてつまんだり褥(しとね)に誘ったり、かなり積極的なお人柄のようだ。「このおなかの張り具合……」と、ふくよかな男性がお好みのようだから、スラッと細身の花山帝では女御としてもつまらなかったかもしれない。忯子(よしこ/井上咲楽)ひとすじの花山帝では他の女御が悲しい思いをしただろうと考えていたので、ちょっと安心する演出である。 それにしても、妻が変わってもとにかく実資に日記を書かせようとする。なんでや。
ききょう再登場!
ききょう(ファーストサマーウイカ)再登場! 待ってました! まひろの無料文字教室に対して「なんと物好きな」、なにしてんのアンタ、という表情に噴き出した。 「あのような姫たちが私は一番嫌いでございます」 「退屈な暮らしに、そうと気づく力もない姫たち」 ズッバズバ言うなあ、さすが未来の清少納言。ききょうの台詞すべてを書き出してしまいたいくらい、どれも気持ちがよい。ファーストサマーウイカの表情や仕草がキュートで、見入ってしまう。 「私は私のために生きたいと思っております!」 オスマントルコ軍楽のような劇伴に大笑いしつつ「宮仕えできる位の家の娘なら、一度は宮廷に仕えて世間に触れ、見聞を深めるべきだ」という清少納言の考えは、実際に『枕草子』に書かれていることを思い出していた。 このとき、まひろがききょうの言葉をどう受け止めたかは、まだわからない。衝撃を受けたのは確かだろう。 『紫式部日記』で紫式部が清少納言を厳しく批判しているので、ふたりはライバル関係であるとか紫式部が清少納言を敵視していたとか、時に面白おかしく語られたりする。しかし、紫式部と清少納言がそれぞれ置かれた立場……政治的事情から、そう書かざるを得なかったのではと想像している。個人的な思いは、また別だったのではないかと。 その政治的な事情は、物語の中でこれからしっかりと描かれる。
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