久々タイトルが目前のマクラーレン、悲願のためにはチームオーダーも否定せず「冷静に、落ち着いて勝利を目指す」
マクラーレンのアンドレア・ステラは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがチームによるコンストラクターズタイトル獲得よりもアブダビGPでの勝利への熱意を優先させるような利己的な行動をとらないと信じている。 【リザルト】F1最終戦アブダビGP:スターティンググリッド マクラーレンはフェラーリに21ポイントの差をつけてコンストラクターズタイトル獲得を目前にしており、アブダビGPではどちらか1台が優勝すれば、それ以外の結果に関係なく1998年以来となるタイトル獲得を決められる状況にある。 もちろん仮に勝利を逃したとしても、マクラーレンはフロントロウを独占しており圧倒的に優位な立場にある。追いかけるフェラーリはカルロス・サインツJr.こそ3番手だが、シャルル・ルクレールはペナルティもあって19番グリッドからのスタートと厳しい状況だ。 しかしマクラーレンとしては、ドライバーのふたりが優勝争いを繰り広げることで招きうる複雑な事態について懸念している。もし、ふたりが接触するようなことがあれば、3番手のサインツJr.が優勝し、フェラーリに栄冠をもたらす勝利を届けるというシナリオも考えられる。 特に今季のマクラーレンは、シーズンの様々な局面で悩みながらもチームオーダーを出してきたが、ステラ代表はアブダビGP決勝でドライバー間の状況を管理する必要性を十分に「認識している」と言う。 ノリスとピアストリの間で必ずしもチームオーダーが完璧に実行されたわけではなかったが、ステラ代表はマクラーレンの全員にとってコンストラクターズタイトルが究極の価値があることを理解しているため、ふたりが今季これまでとは違った形で物事を処理するだろうと信じている。 「ドライバーと接するときは、彼らがレースに勝とうとしていることを常に意識する必要がある」とステラは言う。 「彼らはカート時代からそう考えて成長してきた。そしてキャリアのある段階で、彼らにこう言うんだ。『いや、ここは君たちが勝つための場所じゃない。チームが勝つためなんだ』とね」 「だから、まずは意識することが重要だ。我々はとても意識している。シーズン中、我々はすでにふたりのドライバーと何度も話し合ってきた。そして、今回は我々三者の利害が一致しない唯一の状況であることを伝えたんだ」 「ふたりのドライバーは、それぞれが勝利を望んでいるのだから、全員が完全に団結したまま立ち向かうことはできないんだ」 ステラ代表は今回チームオーダーをどのようなものにするか慎重に検討する必要があるとしながらも、何が問題になっているのか、なぜ異なるアプローチが必要なのかをドライバーたちはよく理解しているという。 「このような会話をするときはいつでも、その要点がどれだけ簡単に伝わるかという点で、ポジティブな驚きがある」 「最優先なのはチームであり、これは(日曜の朝も)同じ会話になるだろう。発進、第1コーナー、1周目、すべてのシチュエーションに向けて最高の準備ができる」 「現実的には、接近戦においてあまりルールを重視することはできない。なぜなら、ドライバーは本能に従うのが一番安全だと感じているからだ」 「しかし重要なのは、明確な目的を持って本能をプログラムすることであり、明日の目的はチャンピオンを持ち帰ることだ」 「オスカーやランドと話した時、ふたりともが我々や彼らのキャリア、そしてマクラーレンでの旅において、コンストラクターズ選手権は彼らが最も気にかけていることだと言っていたよ」 フェラーリがコンストラクターズチャンピオンシップ獲得の望みをつなぐには、マクラーレンのアブダビGP優勝を阻止しなければならない。 つまりもしマクラーレンが保守的な考え方でレースに臨み優勝を逃すようなことがあれば、ライバルに逆転の可能性を残してしまうリスクをはらんでいるとも言える。 レースへのアプローチについて聞かれたステラは、マクラーレンが自己満足に陥らないことが重要だと答えた。 「この週末と同じようなアプローチでレースに臨むべきだと思う。今までやってきたことをやり続けるんだ、と自分に言い聞かせることによってね。これはレース中も同じだ」 「躊躇し始めると、間違った決断を下すこともあると思う。今のところ、チームはとても冷静で、落ち着いていて、集中している」 「予選のときでさえ、誰ひとりとして我慢することはなかった。オスカーを見ればわかるようにね。彼はQ3に進出し、攻めた。ラップタイムが抹消されそうになるくらいね」 「でも公平を期すなら、我々はレースに勝ちたいんだ。それが目標だし、チャンピオンシップに必要なポイントを獲得するための最も安全な方法だと思う」
Jonathan Noble