「絶対悪意ある」「営業妨害では」との声も…。チロルチョコからうごめく虫が…? その“顛末”と、称賛集めた公式Xの対応
そして「この後、さっそくワクワクなお知らせがありますので楽しみにしていてください!」と続けて、競合とも言える人気チョコ菓子「ブラックサンダー」とのコラボレーション商品を告知する。 もともとタイミングは決まっていたのだろうが、どんよりとしたフォロワーの気持ちを晴れさせる内容になった。 ■チロルチョコの広報スタンスは投稿者側の「事実誤認」 SNS上では、インパクトの強い画像や映像は、投稿後すぐさま拡散されてしまう。今回も虫がうごめく様子が投稿されたからこそ、より早く広まっていった。
投稿を発見し、事実を確認し、経緯説明し、必要ならば再発防止策を打ち出す。一連の対応を迅速に行えるかに、その企業の力が問われている。 その点、実はチロルチョコには、“前例”があった。2013年6月、今回同様に「チロルチョコの中に芋虫がいた」と拡散され、こちらも即座に公式X(当時Twitter)から「現在ツイートされている商品は昨年の12月25日に最終出荷した商品で掲載されている写真から判断しますと30日~40日以内の状態の幼虫と思われます」とアナウンスされた。
続けて「詳しくはこちらのサイトをご覧下さい」として、日本チョコレート・ココア協会公式サイトの「よくある質問」ページへのリンクを投稿した。このページでは「なぜチョコレートやココアに虫がつくのですか?」「家庭で虫からお菓子を守るにはどんなことに気をつけたら良いのですか?」といった内容が説明されている。 これらの投稿の真意としては「投稿時点で最終出荷から半年近くたっており、幼虫の成長具合からすると、購入後に混入したと考えられる」といったところだろうか。あえて抽象的にすることで、言わんとしている内容をくみ取りにくくはなるが、一方で「トゲ」のない印象を与える。
今回の対応も、11年前のケースを参考にしているのだろう。 投稿者側がどれだけの悪意を持っていたか、はたまた勘違いだったかは不明だが、メーカーの広報スタンスは「事実誤認」で通した。そこには、食品を売ると同時に、その先にある「笑顔」を提供する自負が透けてみえる。 ■ネット民からは「投稿者に甘い」との声もあるが… ネットユーザーからは「投稿者に甘い」との声もある。今後必要に応じて法的措置に出る可能性もあるが、あくまで広報上は、これが最適解だったと思われる。
チロルチョコの対応に、あらゆる企業のSNS担当者が学ぶところは多いだろう。
城戸 譲 :ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー