力学の専門家が説く「割り箸をキレイに割るコツ」 ポイントは「水平」「利き手」「指3本」にあった
「次に、割り箸の先端から指3本分くらいの位置を、反対の手で少しずつ上に引っ張ります。1、2、3、4、5…と数えるイメージで、ゆっくり静かに割るのがコツです」 ──これだけ割り箸と真剣に向き合うのは初めてで緊張しますが、左手を恐る恐る持ち上げてみると…おお!確かに、ここ最近で一番きれいに割れました!どのような仕組みなのでしょうか? 「物体が外部から力を受けると、内部に『応力』というものが生じます。割り箸を割るときは、箸の股(割れ目)から応力が発生し始め、それが根元(持ち手側)までだんだん伝わっていく結果、二つに割れるわけですね。 きれいに割れるかどうかは、2本の箸の間を応力がまっすぐ水平に進むことができたか、それとも2本のどちらか片方に傾いてしまったかで決まります」 ──「応力」と聞いた途端、割り箸を割るだけの日常動作が、なんだか一気に奥深く思えてきました…。もう少し詳しく教えていただけますか? ■“利き手”と“反対の手”の役割分担がカギ 「応力とは、材料力学の言葉です。割り箸はもともと、製造上のばらつきで、完全な左右対称にはつくられていません。そのせいできれいに割りにくいという事情もあるのですが、やはり、私たちがどのように割るかどうかも影響してきます。 ポイントは、割り箸の2本両方に、応力を均等に伝えてあげることです。そのためには急激な力ではなく、静的な力を、徐々にかけていくようにしてください。 先ほど、利き手が下になるように割り箸を持っていただきましたよね?それはなぜかというと、私たちは利き手のほうが、反対の手よりも動きが激しくなってしまいがちだからです」 ──なるほど…利き手は自由に扱いやすい分、静的な力をかけるのには、かえって不向きということでしょうか。 「はい、利き手はあくまでも割り箸を支えるだけにとどめましょう。そうすると、あとは反対の手を動かすことだけ考えればよくなるので、箸を引っ張るときに余計な力が入らないようコントロールしやすくなります」