早朝講演会400回を達成 ── 大阪のNPO法人33年がかりで
NPO法人SKC企業振興連盟協議会(本部・大阪市中央区船場中央、会長・上山英介大日本除虫菊会長、会員・400社)が毎月、著名人を招いて開催している早朝講演会が2月も開かれ、通算400回に達した。1982年4月の第1回開催以来、33年がかりの快挙だ。1か月も休まない400回連続開催は、全国的にも珍しい。同協議会は異業種交流会のパイオニアで、大阪の中小企業経営者のたくましい知的好奇心が、ロングラン開催の原動力になっている。
早朝の時間帯を勉強会で有効活用
午前8時、大阪第一ホテル(大阪市北区)の一室に、同協議会の会員らが続々と集まってくる。バイキング料理方式で朝食を摂り、8時30分から講師の講演に耳を傾ける。1時間あまりの講演を聞いたうえで、質疑応答タイム。10時には会場を出て、それぞれのビジネス最前線へ向かう。時は金なり。早朝の時間帯を有効活用する中小企業経営者らしい勉強会だ。かつては30分早い7時30分始まりの時代もあったという。 400回記念講演会では、角和夫阪急阪神ホールディングス社長が「魅力あるまちづくりを目指して」と題して講演。阪急電鉄の創業者で、関西を代表するベンチャー企業家として知られる小林一三氏の経営哲学などを振り返った。 小林氏が鉄道事業に乗り出した際、すでに先発組が一等地を押さえ、後発の阪急電鉄には田園が広がるローカルエリアしか残っていなかった。そこで、旅客輸送需要を独自に創出するため、沿線で品質の良い宅地開発を敢行。同時に宝塚歌劇団などを創設して観光客の誘致に注力。住みやすく文化性も高いという阪急ブランドの浸透に成功した。 阪急阪神ホールディングスでは現在、梅田再開発などに取り組む。角社長は「つねに教育と文化をまちづくりのベースに据えている」と、創業以来受け継ぐ文化創造的ベンチャー精神を強調。参加者たちの共感を誘っていた。
講師陣は多士済々・参加者は切磋琢磨
SKC企業振興連盟協議会の前身母体は1980年4月、大阪の若手企業家らが結成した船場経済倶楽部。当時は伝統的な経済団体や業界別団体を除くと、若手の経営幹部や中堅ビジネスパーソンが互いに啓発し合える場が少なかった。 船場経済倶楽部は結成直後から、業種業態を超えた異業種交流会のパイオニアとして、注目を浴びた。結成から2年後の82年4月、各界の有識者を招き、卓越した見識を、若手が謙虚に学ぶために企画されたのが、早朝講演会だった。以来、1カ月に2回開催したことがあるものの休んだことはなく、2月の講演会で400回に到達した。 講師陣は多士済々。登場順に井植薫(三洋電機社長)、コシノヒロコ(デザイナー)、樋口廣太郎(アサヒビール社長)、佐治敬三(サントリー社長)、難波利三(直木賞作家)、安藤忠雄(建築家)、石毛直道(国立民族学博物館館長)、上村洋行(司馬遼太郎記念館館長)の各氏など。大阪選出の国会議員や地元の財界・行政関係者も随時招かれ、直面する課題などをテーマに現状を報告し、持論を展開してきた。 講演会の定期開催による情報交換が、異業種交流見本市「まいどおおきに博」などの活動につながっている。平岡龍人副会長(清風情報工科学院理事長)は「大阪の経済文化を支える中小企業の経営者が、自主的に運営していることが、この講演会の何よりの特色。これからも切磋琢磨していきたい」と意気込む。 次回の講演開催は3月2日で、講師は中山泰秀外務副大臣を予定。有料会費制。詳しくはNPO法人SKC企業振興連盟協議会の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)