日銀・黒田総裁会見7月30日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい
冒頭でご説明いたしましたように、経済の見通しについてはやはり海外経済の動向を中心に、下振れリスクのほうが大きいというふうに判断をいたしております。この点はこの公表文および展望レポートの後ろにあります委員の見通しのリスク分布が書いてありますけども、それを見てもお分かりいただけるように、やはり経済の見通しについては海外経済の動向を中心に下振れリスクのほうが大きいと判断しておりますし、また物価については、物価固有の不確実性に加えまして、経済の下振れリスクが顕在化して物価に影響を与える可能性にも、やはりこれまで以上に留意が必要な情勢にあるというふうに判断をしておりまして、こうした情勢を踏まえますと、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるリスクの顕在化を未然に防ぐために必要と判断する場合には、ちゅうちょなく政策対応を行う方針であるということを、さらに明確にすることが適当というふうに判断して、その旨を公表文にも明記することとしたわけであります。 従来、私が申し上げておりましたのは、モメンタムが損なわれるような場合にはちゅうちょなく追加緩和を検討するというふうに申し上げておりましたけれども、今回はさらに一歩進めて、モメンタムが損なわれる恐れが高まった場合に、ちゅうちょなく追加緩和を行うというふうに申し上げて、より明確に日本銀行としての金融緩和に対する対応方法を示したということであります。 NHK:ありがとうございます。では、各社お願いいたします。
海外経済リスクがより強まったとの認識なのか
読売新聞:読売新聞、【ヒロセ 00:13:44】と申します。よろしくお願いします。先ほどのちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じるということを公表文に明記されたところなんですけれども、前回会合に比べて、海外経済のリスクというのが2%の物価安定目標に与えるリスクというのがより強まったというご認識なのでしょうか、その辺を教えてください。 黒田:先ほど来、申し上げておりますように、委員の中心的な見通しとしては、景気は緩やかな拡大を続けて2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されているとみているわけですけれども、そうした見通しには海外経済の動向、あるいは消費税率引き上げの影響など、さまざまな不確実性があって、リスクバランスは経済・物価とも下振れリスクのほうが大きいというふうにみております。 特にやはり海外経済を巡る下振れリスクは引き続き大きく、しかも最近の保護主義的な動きが、世界経済や国際金融市場に及ぼす影響の不確実性が高まっているというふうにみておりまして、これらがわが国の企業や家計のマインドに与える影響にも注視していく必要があるということでありまして、物価については企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の上昇に、予想以上の時間が掛かるといった物価固有の不確実性に加えまして、今申し上げたような海外経済を中心とする経済の下振れリスクが顕在化して物価に影響を与える可能性についても、やはりこれまで以上に留意が必要な情勢にあるというふうに考えております。