日銀・黒田総裁会見7月30日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
現状維持で十分という判断に至ったポイントは?
NHK:ありがとうございます。そしたら幹事社から2点お願いいたします。今回の金融政策決定会合はアメリカ、ヨーロッパを含めて世界の中央銀行が利下げや緩和の姿勢を示す中での開催となりました。海外経済の下振れリスクが大きく、モメンタムも力強さに欠ける中にあっては、日銀も追加の対応をするのではないかというふうな注目も集まっておりましたが、今回の政策決定において、現状維持でも十分だという判断に至ったポイントについてお聞かせください。 あと2点目です。先ほど総裁が言及されたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合にはちゅうちょなくというふうな、これまで会見で何度かお示しされた考え方だと思いますけれども、今回のタイミングでこれを公表文に盛り込んだ、明文化したということは、日銀としても金融緩和には積極的であるというふうなことを内外に示す狙いもあるのかどうか、その辺りについてお聞かせください。 黒田:まず、日本銀行も含めまして、どの国の中央銀行もそれぞれ自国の経済・物価の安定を実現することを目的として、それぞれの置かれた状況に応じて最も適切な政策運営に努めているということであります。 わが国の経済・物価情勢を見ますと、先ほど申し上げたように下振れリスクには注意が必要なことは事実でありますが、先行きも経済は緩やかな拡大を続けて2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されるというふうにみております。従って政策運営としては、現在の強力な緩和を粘り強く続けることで、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く持続し、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するということが重要であるというふうに考えているわけであります。 その上で、このところECBやFRBが政策スタンスを修正している背景には、はやり世界経済の不確実性の大きさというものがあるというふうに思います。また、海外の中央銀行がその金融政策運営についてなんらかの変更を行うっていうことがありますと、国際金融市場、あるいは世界経済に影響を及ぼす可能性がある点にももちろん留意する必要があります。日本銀行としては公表文にも明記したように、海外経済の動向を中心とした経済・物価の下振れリスクを十分注視して、先行き、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和を講じるという方針を明らかにしたわけであります。