日常使いにちょうどいい、小型軽量ポータブル電源6選
ポータブル電源が話題に上ることが多い。特に災害に備えての需要が多いだろう。だがいざ買おうと思うと、意外に安くないうえに、家に置いておくスペースがあるだろうか? と悩む人も多いはずだ。 【画像】電池素材としてリン酸鉄を採用しているモデルを選びたい。写真はアンカーの「Anker Solix C300」のイメージ そこで今回は、キャンプや災害時にサッと持ち出せる、“ポータブル電源”で想像するものよりも、小さくて軽いモデルをピックアップした。一般的にサイズが小さいほどバッテリー容量も少なくなるが、それだけ日常でも使いやすくなる。いざという時に役立つのは、備えてクローゼットの奥にしまってあるものではなく、普段使いしているものだろう。また普段使っているうちに「容量が少なすぎる!」と思えば、気軽に追加購入もしやすい。そんなコンパクトでリーズナブルなポータブル電源をおすすめしたい。 ■ 今回のセレクト条件 今回のセレクトにあたっては、2~3人家族での利用を想定。キャンプなどに時々行くが、基本的には災害時の備えとしての購入を考えている……という人たちを念頭に置いた。 災害時の備えといっても、普段は使うかどうか分からず、自宅に置いておくため、できるだけコンパクトなサイズに。また予算は、頑張って2~4万円程度と想定した。 長寿命で安全に使えるリン酸鉄採用モデルは絶対条件 おすすめしたいのはリチウムイオンバッテリーの中でも、電池素材としてリン酸鉄を採用しているモデル。「リン酸鉄」の利点は、長寿命かつ安全性が高いことにある。 数年前まで一般的だった「三元系」のリチウムイオンバッテリーのサイクル数が約500回ほどなのに対して、「リン酸鉄」モデルの寿命は2,000~4,000サイクル。寿命を少なめに見積もった2,000サイクルとしても、毎日フルに使って充放電を繰り返して、5年が経ってもバッテリー性能は80%前後だということになる。 また基本的にリチウムイオンバッテリーは、衝撃や熱に強い機器ではない。そうした電池を、各メーカーが筐体設計や電源管理ソフトウェアなどの工夫を凝らすことで安全性を高めてきた。だがリチウムイオンバッテリーの素材のなかでリン酸鉄は、その素材自体の安定性が高いため、より安心して使ったり保管しておける。 ポータブル電源においては今や主流となっている、「リン酸」採用モデルを迷わず選ぼう。 予算2~4万円であれば容量は200~250Wh 「予算は2~4万円」で「リン酸鉄採用モデル」という条件で絞り込むと、購入できるポータブル電源の容量は、200~300Wh前後となる。 最新のスマートフォンの容量が、だいたい3,000~4,000mAhとして、Whに換算すると「11.1~14.8Wh」。ポータブル電源の容量が200Whの場合だと、4,000mAhのスマートフォンを約13回充電できる。1日1回の充電で13日、または13台を充電できるということ。3人家族でスマートフォン3台持ちでも、4日間は充電可能だ。 ちなみに消費電力が25Wの扇風機であれば、単純計算だと約8時間動かせる。ただし筆者が使っている、消費電力60Wの電気毛布だと約3時間といったところ。 また、容量が200~300Wh前後のポータブル電源の定格出力は、300W以下が多い。 家電製品で使えるのは、暖房系であれば小型のヒーターやこたつ、電気毛布……ドライヤーのモデルによっては使えるものがあるかも……と限られる。前述した電気毛布の稼働時間を考えても、スマートフォンやパソコンなどの充電用としての利用であれば十分な気がするが、冬場の災害や停電時に暖を取りたいという人には、1台では少し不安だ……ということを踏まえておきたい。 大人が片手でサッと持ち出せる重さ 本体の重さについては、このクラスだと3~4kgくらい。大人であれば片手で持てるため、災害の際に避難する場合にも、迷うことなくサッと持ち出せそうだ。また普段はキャンプなどに持って行きやすく、ベランダや庭でも使いやすい。そのほか室内でも、電源コンセントが少ないエリアで家電製品を使いたい、といった場合に重宝するだろう。 以上の条件で、もし「容量が少ない」と感じたら、より容量の多いものを購入するか、同容量帯のポータブル電源を複数台購入するのも良いだろう。「もっと様々な家電が使いたい」と感じた場合は、より出力の高いモデルを検討した方が良い。 ■ 肩掛けして持ち運べるアンカーの「Anker Solix C300」 「Anker Solix C300 Portable Power Station」は、底面積が約16cm四方のコンパクトサイズ。付属のストラップを使って肩掛けできるので、両手を自由に使いながら持ち運べる。 コンパクトでありつつ、ACが3口のほか、USB Type-Cを3ポート、Type-Aを1ポート、さらにシガーソケットも備える。スマートフォンをはじめ、USB Type-Cを採用するガジェットが増えている昨今、Type-Cだけで3ポートを備えているのはうれしい。また、ACの定格出力は300W(瞬間最大600W)のため、扇風機や電気毛布などにも使える。 本体サイズは約164×161×240mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約4.1kg。バッテリー容量は288Wh(90,000mAh)。最大出力は300W。充電時間は68分。 ■ 拡張バッテリーとつなげて使えるブルーティの「BLUETTI AC2A」 「BLUETTI AC2A」は、ACを2口のほかUSB Type-Cを1ポート、Type-Aを2ポートなどを搭載。最大6台の機器に同時に電力を供給できる。 超急速充電技術を備え、45分で80%の充電ができ、70分以内にフル充電可能。また、同機本体のバッテリー容量が少ないと感じたら、同社製の拡張バッテリー「B80(容量806Wh)」をつなげて使える。 本体サイズは250×156.5×174.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは3.6kg。バッテリー容量は204.8Wh。最大出力は300W(瞬間最大600W)。 ■ 机の上に置いて使いやすいエコフローの「RIVER 3(230)」 EcoFlow Technology Japan(エコフロー)の「RIVER 3(230)」は、コンパクトサイズながらAC出力を2ポート備える。容量は230Wh、出力は300W。 ACプラグでは約1時間未満の高速充電が可能なほか、ソーラー充電、シガーソケット充電、発電機充電にも対応する。 本体サイズは255×207×113mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.5kg。 ■ ワイヤレスで容量拡張できるエコフローの「RIVER 3 Plus」 EcoFlow Technology Japan(エコフロー)の、容量286Whの「RIVER 3 Plus」は、小さいながらも定格出力が最大600W。より多くの家電製品に対応する。 専用エクストラバッテリー(別売)をワイヤレス接続で簡単に増設でき、容量を最大858Whまで拡張可能。一般的なエクストラバッテリー(拡張電池)がケーブルで接続するのに対して、同機ではポゴピンコネクタを採用し、重ねて置くだけでワイヤレスで接続できる。 なお別売の専用エクストラバッテリーは、容量286Whの「EB290」と同572Whの「EB580」から選択できる。また、はじめから専用エクストラバッテリーが同梱されたセットモデル「RIVER 3 Max」(合計容量554Wh)や「RIVER 3 Max Plus」(同858Wh)も用意されている。 本体サイズは234×232×146mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約4.7kg。出力ポートはUSB Type-A×2、USB Type-C×1、車載シガーソケット×1。充電時間は60分。 ■ 約1時間で高速充電できるJackeryの2024年モデル Jackeryの「Jackery ポータブル電源 240 New」は容量が256Whで最大出力は300W。ACを1口のほか、USB Type-Aを1ポート、Type-Cを2ポート、それにシガーソケットを備える。 本体を約2時間で満充電する「AC高速充電」モードに加えて、約1時間の「緊急充電」モードを搭載。ソーラー充電入力に関しても、前モデルの65Wから、100Wに向上。停電などの緊急時に0.02秒未満で、電源供給を本機に自動で切り替えるUPS機能を備える。 本体サイズは約231×153×168.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量は3.6kg。 ■ リュックにも入れられる2.85kgの「BougeRV JuiceGo」 BougeRVの「BougeRV JuiceGo(ボージアールブイ ジュースゴー)」は、容量240Whで重さが2.85kg。今回紹介するラインナップ中での最軽量モデル。リュックに収まるブックサイズのため、付属ストラップを持って気軽に外にも持ち出しやすい。 出力ポートはACが1口のほか、USB Type-Cが2ポート、USB Type-Aが1ポート、シガーソケットを1口備える。 本体サイズは約260×66×169mm(幅×奥行き×高さ)。充電用USB Type-C to Cケーブル、シガーソケットケーブルが付属し、ACアダプターは別売。保証期間は5年。
家電 Watch,河原塚 英信