“リアルとオンラインの共存”のために重要なことは?丸井グループ・相田昭一CDO「それぞれの強みを活かした位置づけや役割がある」
◆“リアルとオンライン”共存を重要視する理由
“リアルとオンラインの共存”のために重要なこととして、「二項対立ではなく、それぞれの強みを活かした位置づけや役割があると思う。“買い物をする”という行為だけでいうと、いつでもどこでも買える『eコマース(電子商取引)』のほうが圧倒的にスムーズですし、それをリアルに求めるのは非常に酷」と相田さん。 そのうえで“リアル”が必要な点として“体験”“新しいものを発見する場”というメリットを挙げます。例えば、自分の趣味・嗜好と異なるファッションとの出会いやエンゲージメント(関係性・愛着心)を高める場においては、「人と人がつながる場で、同じ空間・時間を過ごすことで体験価値が高まる。その辺りは、リアルならではの価値なのかなと思います」と持論を展開。 これに笹川が「オンラインで欲しい服を決めて、決め打ちで買うなら(オンラインのほうが)便利ですけど、ふらっと入った洋服屋さんで、すごくセンスのいい店員さんが勧めてくれて、“普段なら絶対に買わないけどチャレンジしてみよう”と思って購入した服が、意外と5~6年も長く着る大切なお洋服になったりするので、“出会い”という意味だと、オンラインよりリアルが勝りますよね」と大きくうなずくと、相田さんも「これからはオンライン体験とオフライン体験のつながりが重要ですね」と続けます。 とはいえ、リアル店舗で働く店員からすると、来店したお客さまに“売りたい”と思ってしまいがちですが、相田さんは、こうしたオンラインとオフラインのつながりが実現できれば「基本(リアルでは)売らなくてよくなる」と断言。 というのも、「(リアルで)試着だけをして、帰宅したお客さまがそれを(オンラインで)買う。その後、きちんとメールやSNSでお客さまとコミュニケーションを取り、長いお付き合い期間を作っていく。いわゆる、カスタマーサクセス(顧客の成功体験)がオンラインとオフラインの両方で実現できることが大事ですし、長いお付き合い期間を育むには、デジタルがないと絶対に実現できません」と力を込めていました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」12月2日(土)放送より)