ファッション業界のメンタルヘルスの問題とは? ベルリンのクリエイティブエージェンシー代表のフロリアン・ミュラーに聞く
ベルリン拠点のミュラーPR&コンサルティング(MÜLLER PR & CONSULTING)代表のフロリアン・ミュラー(Florian Muller)は、2023年に「Mental Health in Fashion」キャンペーンを立ち上げ、ファッション業界における精神疾患の問題をテーマに、ベルリンや日本を含むアジア諸国など世界各地で講演活動を行っている。
11月7~10日に、パリの「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)」で開催するダイアン・ペルネ(Diane Pernet)主催のファッションに特化した映画祭「ASVOFF(A Shaded View on Fashion Film Festival)」にキュレーターとして参加することが決定している。
ミュラーは「ショーやパーティーなど華やかなイメージのあるファッション業界の裏側には目に見えない様々な深刻な問題が潜んでおり、従事する人々の精神に悪影響を与えている」という。実際にはどういったことが問題になっているのだろうか?
――「Mental Health in Fashion」キャンペーンを始めたのはなぜですか?
フロリアン・ミュラー(以下、ミュラー):20年以上にわたり、ファッション業界で仕事をしていますが、精神疾患における重要な問題が存在することに気付きました。ファッション業界に入る以前から問題を抱えている人もいれば、厳しい業界構造やプレッシャーによって新たに問題を抱えてしまう人もいます。まずは、ファッション業界における精神疾患の問題が存在することを多くの人に知ってもらい、注目を集めることで意識を変えたいと思い、キャンペーンを立ち上げました。精神疾患への差別や偏見を取り払い、可視化を図ることを目的に活動しています。また、既存の構造を変えることにも取り組んでいます。それにより、人々が病気にならないように、もしくは既存のメンタル疾患や特別なニーズがあってもより良く保護されるようにすることを目指しています。