リモートワーク廃止の流れは経営者の支配欲求? 日本企業が「アマゾンに続け!」となるのは危険
「当社では、チームワークを重視しており、今後できればリモートワークを廃止したいと考えています。よく『オンラインでもかなりの共同作業ができる』と言いますが、何とか対応できるというのと創造的な仕事をするというのでは、大きな隔たりがあるのではないでしょうか」(建設) ここで、「リモートワーク反対の理由はいろいろあるけど、たいてい綺麗ごとです。単純に経営者は支配傾向が強いからですよ」(小売り)という興味深いコメントがありました。
支配傾向とは、他人を自分の意志に従わせて行動させようとする欲求のことです。多くの経営者は支配傾向が強く、部下を意のままにコントロールしたいと考えます。リモートワークで社員の行動がブラックボックス化し、自分の支配から外れてしまうのは、「経営者にとって許しがたいこと」(小売り)のようです。 このように、社員はリモートワークに賛成、経営者は反対と明確な傾向があったのに対して、意見が大きく割れたのが、人事部門担当者です。
「反対です。リモートワークは社員がリラックスして仕事ができる反面、プレッシャーを感じにくく刺激も少ないため、長時間にわたってモチベーションを維持するのは困難です。生産性を上げるには、やはり出社を基本にするべきでしょう」(素材) 「賛成です。リモートワークでは、社員に高度な自律性とコミュニケーションスキルが求められます。ただ、難しいからリモートワークをやめようとするのではなく、社員の自律性が高まるように、またコミュニケーションが活性化するように職場運営するほうが、長期的には生産性が上がっていくと思います」(化学)
また、多くの人事部門担当者は、経営者と社員の間にいるという立場から、板挟みで判断をしかねていました。 「経営者からはリモートワークの縮小・廃止を検討するよう指示が出ています。もっとも、リモートワークを望む社員が多いですし、リモートワーク制度が就職・転職市場で一定のアピール材料になっています。経営者の指示だからといってハイハイと言うことを聞くべきか、悩ましいところです」(情報サービス) ■アマゾンのリモートワーク廃止はリストラ策?