【全日本大学駅伝】帝京大が8位で4大会ぶりシード権 山中博生主将「箱根駅伝8位では終わらない、さらに上を目指す」
11月3日の第56回全日本大学駅伝で、帝京大学は8位に入り、4大会ぶりにシード権を獲得した。今大会の目標だった4位には届かず、選手たちは満足していない。今年度の目標である「箱根駅伝総合3位」に向けて、すでにチームは動き出している。 【写真】「世界一諦めの悪い漢」という言葉とともに中野孝行監督の似顔絵があしらわれたポスター
山中博生がエースの走りで4位に
今回の全日本では2区に主将でエースの山中博生(4年、草津東)を起用。8位に入った出雲駅伝で学生3大駅伝デビューした廣田陸(2年、北海道栄)と楠岡由浩(2年、慶誠)の両2年生をつなぎ区間に配置し、福田翔(4年、世羅)と小林大晟(4年、鎮西学院)の力がある4年生で終盤の2区間を固めた。 1区は出雲で出走せず全日本に合わせてきた島田晃希(3年、高田)を投入した。終盤までスローペースの集団走になり、ラストスパート勝負へ。日本学連選抜を含め15チームが10秒差以内に位置する大混戦の中、島田はトップの日本体育大学と5秒差の9位につけた。「もっと前で勝負するのが理想だったがラストで足が固まってしまった」と、納得いく結果ではなかったが流れはつくった。 他校のスピードランナーと争う2区では山中がエースらしい走りを見せた。「島田が集団で来てくれたので流れに乗っていきたいなと思った」。序盤は先頭集団を形成。7km付近から青山学院大学の鶴川正也(4年、九州学院)や創価大学の吉田響(4年、東海大静岡翔洋)に引き離されるも区間4位と好走。トップと42秒差の4位に順位を押し上げた。 「もう1個前でレースをしないと、もっと上で戦っていくには厳しいと実感した」と山中は悔やんだが、中野孝行監督は「強い選手がいる中で勝ったのは大したもの」とたたえた。
楠岡由浩の快走でシード射程圏内に
トップ3も狙える好位置につけたが中盤は苦戦した。3区の尾崎仁哉(3年、東海大福岡)が、國學院大の辻原輝(2年、藤沢翔陵)や城西大学のヴィクター・キムタイ(3年、マウ)らに抜かれ区間13位、順位を3つ落とした。4区の廣田は区間11位でシード圏外の9位に。当日変更で入った5区の柴戸遼太(3年、大分東明)も力を発揮しきれず区間11位、チーム順位も11位でシード権争いに巻き込まれる形になった。 流れを引き戻したのが6区の楠岡だ。5000m13分台の大物ルーキーとして鳴り物入りで入部。昨シーズンは故障などで出番が限られ、今年10月の出雲が3大駅伝デビュー戦だった。全日本の1週間前に出場した10000mの記録会で圧倒的な走りを見せて29分06秒台を出したことから、中野監督は「いける」と踏んだ。 采配が的中し、楠岡は区間4位の快走。「出雲後の記録会で良い感覚をつかめた。似たような距離だったのでそれを再現した」と、想定通りの走りができた。「最低限の目標はシード。次の7区に強い4年生、福田さんがいたので8位が見えるところまで押し上げようと思った」。8位の中央大学と7秒差の9位に浮上した。 下級生の活躍に4年生の2人が応えた。7区の福田は序盤で中央大のエース吉居駿恭(3年、仙台育英)をとらえた。7km付近から日体大の富永椋太(4年、鉾田一)や立教大学の馬場賢人(3年、大牟田)らと激しいシード権争いを展開し、1つ順位を上げた。