シベリア 世界最深の湖「バイカル湖」を旅する──写真家・倉谷清文
その深さは世界一、約2500万年前に出来たという世界最古の湖、ロシア・シベリア南部にあるバイカル湖。湖水面積では世界一の座を譲るものの、琵琶湖の約47倍の広さを誇ります。また、貯水量は世界最大で、氷河を除く地球上の淡水の約20%を占めます。 【写真特集】シベリア 世界最深の湖「バイカル湖」を旅する──写真家・倉谷清文 シベリアというと冬の厳しい環境を思いがちですが、生態系は豊かで約1500種以上の動物、約1000種以上の植物が生息し、その多くが固有種であるといいます。 そんな神秘的なバイカル湖を、写真家の倉谷清文さんが訪ねました。
かつて流刑地だった「シベリアのパリ」イルクーツク
飛行機で日本からヨーロッパ方面に飛び立ち、4~5時間すると眼下に広がるタイガ(針葉樹林帯)。冬季には白銀に覆われ、起伏の中を黒い川が蛇行する風景が機窓から見える。「極寒の地」を想像させるに十分な光景である。 成田からイルクーツクに飛んだ。10月の下旬に差しかかった頃、東京はまだ20℃を超えていたが、現地では初雪のニュースが流れていた。イルクーツクは、かつてコサックがテンの毛皮を取るために設けた宿営地を起源に発展した都市で、モンゴル、中国に近いことから貿易の要所として栄えていった。 町を歩くと、古い木造の家屋が残る場所もあれば、ヨーロッパのような美しい町並みが続く通りも見られ、「シベリアのパリ」とも呼ばれている。この都市はかつて、モスクワ、サンクトペテルブルクなどロシア中央から送られた囚人、政治犯の流刑地であり、彼らがその後の町並みや教会などの建物に影響を与えたとされている。帝政時代の町並みを再現した130地区は、お洒落なカフェやレストランが並び、人々が集まる人気のエリアになっている。 世界のいくつかの街と姉妹都市関係を結んでいるイルクーツクだが、中でも石川県の金沢市との繋がりは古く、毎年、両都市による高校生の交換ホームステイが行われていたり、市内には「金沢通り」と名付けられた通りがあるなど、その交流は深い。ちょうど宿泊したホテルのオーナーも何度か金沢を訪れたと言い、その楽しかった思い出を聞かせてくれた。