ドイツでは米軍が基地の汚染浄化を進めていた!なぜ日本では放置されているのか…
ドイツでの地位協定に詳しい森啓輔・専修大学准教授によると、NATO軍地位協定は、基地内で起きた汚染はドイツの環境法制に基づいて処理されると定められており、基地外の汚染については、米軍が75パーセント、ドイツ側が25パーセントを負担して汚染除去に取り組むとされている、という。 「ちゅら水会」に同行取材したディレクターの平良いずみさんが基地側に問いあわせたところ、以下のような回答を得たという。 <米陸軍は、汚染物質の検出と調査から適切な浄化方法の特定、そして最終的な浄化に至るまで、包括的環境対応・補償・責任法 (CERCLA)によって確立された手順に従っています。すべての段階で、ホスト国と緊密に連携しながら進めています>
ドイツでは米軍が汚染者責任を果たしていた
CERCLAとは「スーパーファンド法」とも呼ばれ、有害物質による環境汚染の修復を義務付けたアメリカの法律だ。 ということは、米軍はドイツの国内法に基づいてドイツ当局と連携しながら汚染浄化を進め、基地内での具体的なプロセスは米国の法律に従って進めている、ということになるのだろうか。 「ちゅら水会」の照屋正史さんは言う。 「これまで、スーパーファンド法は米国外には適用されないとの報道を見てきただけに驚きました。米軍が基地への立入調査を拒んだまま汚染除去にも取り組まない日本とは対照的です。防衛省がどちらを向き、どちらに背を向けているか。あわためて、その思いを強くしました」
米軍報告書には、 <地下水調査の結果は、現場一体にPFAS汚染物質プルームが形成されていることを明確に示している> とも記され、その濃度は33,000~35,000ナノグラムほどだったという。 「汚染プルーム」とは、地中の湿った土の層に蓄えられたPFASの貯蔵庫のようなものだ。時とともに染み出して、地下水が蓄えられている帯水層に届き、その後、地下水の流れに乗ってさらに拡散していくことになる。 基地外にある民間の飲用井戸ではすでに、PFOSとPFHxSを合わせて3270ナノグラムが検出されており、今後、除去に取り組まなければ汚染はさらに広がる、と米軍は見ている。 それだけに、汚染源を特定し、地下水や土壌の汚染浄化に取りかかる必要がある。