安倍路線転換の象徴、「選挙の顔」への期待が後押し-石破自民総裁
地方行脚で党員票つかむ
慶応大学卒業後、三井銀行でサラリーマン生活を経験した。鳥取県知事や参院議員を務めた父・二朗氏の死去後、田中角栄元首相の誘いで政界入りを決断。田中派の事務局員などを経て1986年の衆院選で初当選した。
政治改革を唱えて1993年、宮沢喜一内閣への不信任決議案に賛成。一時、自民党を離党したこともあった。小泉純一郎政権下の2002年に防衛庁長官として初入閣し、自衛隊のイラク派遣への対応に当たった。福田康夫政権で防衛相、麻生太郎政権で農相、野党時代は党政調会長を務め、キャリアを積んだ。第2次安倍政権の前半は党幹事長、地方創生担当相を務めた。
若き日に田中角栄氏から「握った手の数しか票は出せない」との薫陶を受けた。高い知名度で地方議員の応援要請にも応じ、全国各地を行脚した。派閥裏金事件による逆風下で行われた7月の東京都議補選では安倍氏の側近だった議員の地元選挙区内にも入り、自民党候補を応援した。
議員会館事務所の本棚には数百冊の愛読書を並べる。石破陣営の選挙対策本部長を務めた岩屋毅元防衛相は、学者肌で勉強家だが、「ちょっと変わり種」の存在だと石破氏を評する。議員仲間との飲み会より読書を優先する傾向もあり、岩屋氏は「人付き合いが悪いとか面倒見がよくないとか悪く言われてきた原因の一つだった」とみている。
カラオケに行くと1970年代に活躍した女性アイドルグループ「キャンディーズ」の歌を熱唱する。「鉄道オタク」も自称し、東京と地元・鳥取との往復には2006年まで運行していた寝台特急「出雲」を好んで利用していた。18歳の時に洗礼を受けたキリスト教徒(プロテスタント)。妻・佳子さんは慶大の同級生で、石破氏は著書で自分の一目ぼれだったことを明かしている。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Takashi Hirokawa