【解説】死者200人超 ハリケーン被害拡大のワケ…災害対応が“大統領選”を左右か
■災害対応が選挙の勝敗左右か…カギ握る“激戦州”
死者が出た6つの州のうち、ノースカロライナ州、ジョージア州は大統領選挙の激戦州である。トランプ前大統領は先月30日、いち早くジョージア州を訪問し、自らを支援する起業家のイーロン・マスク氏と、衛星から地上に電波を届ける「スターリンク」の提供について相談したと報道陣に明らかにした。 一方、バイデン大統領は被害が出始めた週末、ホワイトハウスを離れて地元デラウェア州に戻っていたことに批判が出た。これに対しバイデン大統領は、週末も連日「電話で対応して指示を出していた」と反論し、すぐに被災地入りする意向を示した。バイデン氏は2日間でノースカロライナ州・サウスカロライナ州・フロリダ州・ジョージア州の4つの州を視察。ハリス副大統領も緊急事態に対応する政府機関やジョージア州へと足を運んだ。 2005年にルイジアナに上陸し1800人以上の死者を出した、ハリケーン「カトリーナ」の対応をめぐっては、当時の共和党ブッシュ政権は対応の遅れが批判された。2012年のハリケーン「サンディ」の対応をめぐっては、現職候補だった民主党のオバマ大統領は数日間にわたって遊説日程をキャンセル。迅速な対応が再選を後押ししたとされる。 ハリケーン「ヘリーン」の被害全容はまだわかっておらず、災害対応や被災者の生活再建は今後も続く。バイデン政権と次の大統領には、政治に振り回されない息の長い被災地支援が求められる。 ◇◇◇ ■筆者プロフィール
末岡寛雄: NNNニューヨーク支局長。「news every.」「news zero」のデスクやサイバー取材などを担当し、災害報道にも携わる。気象予報士。趣味は音楽鑑賞。