パリで勝つ!そしてロスへ!スポーツメーカーに独占密着“もう一つの五輪”
今回のテーマは、「パリで勝つ!そしてロスへ」。 パリ五輪で選手を支えた日本企業の知られざる闘いに独占密着! 選手たちの眠りをサポートする寝具、池江璃花子選手が着用する水着、新マラソンシューズの開発など、ガイアのカメラが“スポーツメーカーの挑戦”を追った。 【動画】パリで勝つ!そしてロスへ!スポーツメーカーに独占密着“もう一つの五輪”
最後の瞬間まで諦めない!“日の丸水着”開発の舞台裏
100年ぶりにパリで開かれた夏のオリンピック。日本が獲得したメダルの数は、海外の大会では最多となる、金メダル20個を含む45個。その裏側では、もう一つの闘いが繰り広げられていた。 1月。専修大学(神奈川・川崎市)の総合体育館で、競泳女子・池江璃花子選手が着用する水着の広告宣伝用の撮影が行われた。その様子を見守るのが、スポーツメーカー「ミズノ」の大竹健司さんだ。
ミズノは2015年に池江選手と契約し、水着を提供。2019年、東京五輪に向けた開発から大竹さんが担当。そして東京五輪終了直後から、今度はパリ五輪に向けて新たな水着を開発してきた。大手繊維メーカー「東レ」と組み、従来よりも水を弾き、水中での重さが約6%軽くなる新素材の開発に成功。その新素材を使った水着が「GX・SONIC 6」だ。 3月、新たな水着を着て臨んだ「パリ五輪 代表選手選考会」。池江選手は0.01秒差で2位に食い込み、見事パリへの切符をつかんだ。 6月中旬、大阪にあるミズノの本社。オーストラリアでトレーニングしていた池江選手から、急きょ「新しい別の水着を試したい」との依頼が入る。これまで池江選手が着ていたのは背中の部分が丸く開いたもので、代表選考会でも、このタイプを着用して代表権を獲得した。
しかし池江選手が新たに要望したのは、背中の部分を生地で覆う「背閉じ」タイプ。このタイプは、主に海外の有力選手が好んで着用している。そこで大竹さんが、急きょ「背閉じ」タイプの水着を送って試してもらったところ、池江選手から「背閉であることにより、肩甲骨がぐいっと上に上がるので、より前へ前へと推進力のあるストロークができる」との感想が返ってきた。 オリンピック直前で水着を変えるのは異例のことだが、大竹さんは「直前で変える勇気のある選手はなかなかいないと思う。よりいいものを求めていることが分かったら、“できることをしよう”という気になる」と熱く語る。 大竹さんは「背閉じ」タイプの新たな改良品を、イタリア遠征中の池江選手の元へ。すると1週間後の6月21日、新しい水着を着た池江選手は、イタリアで行われた国際大会の50mバタフライで、世界記録保持者に次ぎ、2位になった。