コミック・文芸好調 講談社の今後の戦略
『続 窓ぎわのトットちゃん』など書籍のヒットも数々
コミック以外の書籍についても聞いた。 「2023年は文芸作品が非常に好調でした。『汝、星のごとく』が本屋大賞を受賞し、40万部まで行きました。東野圭吾さんの作品も久しぶりに9月に出まして『あなたが誰かを殺した』が21万部に達しています。それと京極夏彦さんの17年ぶりの新シリーズ、『鵼(ぬえ)の碑(いしぶみ)』が17万部超。かなり分厚い特装版も出したんですが、これもすぐに売り切れました。 あと夕木春央さんの『方舟』、凪良ゆうさんの『星を編む』も13万部以上を記録しています。また、大きく話題になったのが加藤シゲアキさんの『なれのはて』。10月発売ですが、すでに11万部に達しており、第170回直木賞候補にも選ばれています。それ以外では『レーエンデ国物語』が話題になりました。 文芸以外では『続 窓ぎわのトットちゃん』が、黒柳徹子さんの42年ぶりの続編という形で発売され、50万部に達しています。『窓ぎわのトットちゃん』は海外でも中国をはじめ各国で販売されており、自叙伝としてはギネス記録となる2500万部の大ベストセラーとなっています」(同) その他の書籍や新書、文庫はどうなのだろうか。 「講談社現代新書では22年11月に刊行された林真理子さんの『成熟スイッチ』が版を重ねて16万部に達しています。 企画部から22年12月に刊行したノンフィクション『母という呪縛 娘という牢獄』は1年かけて売れ続け、電子版を合わせると10万部を超えました。 文庫では22年7月刊の東野圭吾さんの『希望の糸』が20万部を超えており、池井戸潤さんの『半沢直樹 アルルカンと道化師』は18万部に達しました。 映画化で話題になっているのが『ある閉ざされた雪の山荘で』です。24年公開ですが、公開発表とともに大きく伸び、23年11月までで11万部以上の重版がかかりました。 そのほか10万部を超えているのは相沢沙呼さんの『invert城塚翡翠倒叙集』や、内館牧子さんの『今度生まれたら』です。 また、23年はブルーバックスが創刊60周年を迎え、店頭フェアや漫画とコラボした新聞宣伝などで話題になりました」(同) 写真集も10万部を超えたものがある。 「乃木坂46の『齋藤飛鳥写真集 ミュージアム』が20万部を超えました。もう1冊、乃木坂46の写真集『TRIANGLE magazine』も売れました。『フライデー』の連載をまとめた写真集『乃木撮3』も13万部を記録しています。 変わったところではユーチューブで人気のコムドット。以前出版した写真集も好評でしたが、今回『コムドット卓上カレンダー2024』が8万7000部売れました。カレンダーを1万人に手渡しするというイベントを開催したのですが、『8時間で最も多く配布されたサイン入りアイテム』ということで、ギネスブックに掲載されました」(同) デジタル書籍の売れ行きはどうか? 「売り上げ1位は『汝、星のごとく』でした。2位が『母という呪縛 娘という牢獄』。3位『方舟』、4位『爆弾』。 そのほか西尾維新さんの『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』などの新刊が売れました。そのほか綾辻さんの『十角館の殺人』、我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』など、既刊の名作が、TikTokやSNSなど色々な形で取り上げられ、話題となり売れています。これも一つの流れでしょうか」(同) そのほか講談社ならではの書籍としてはディズニー関連がある。 「コロナ明けで多くの方がディズニーランド、ディズニーシーに行くようになったので、『子どもと楽しむ! 東京ディズニーリゾート 2023-2024 40周年スペシャル』が来場者増に合わせるように売り上げを伸ばし7万部となりました。そのほか目立ったのは、ディズニーシーの公式ガイドブックですね。『Disney Supreme Guide 東京ディズニーシーガイドブック with風間俊介』や、『リゾートナビガイド「子どもといく 東京ディズニーリゾートナビガイド2023-2024 シール100枚つき」』『東京ディズニーシー パーフェクトガイドブック 2023』『東京ディズニーリゾート完全ガイド 2023-2024』も売れました」(同) 雑誌は厳しい状況だが、『VOCE』など比較的好調なものもあった。 「『VOCE』は女性のビューティ雑誌ですが、そのカテゴリーの中でナンバー1になっています。同カテゴリーが少ないというのもあるかもしれないんですけれど、コスメの雑誌としては圧倒的に存在感を示すことができたと思います。 雑誌自体は業界全体で伸び悩んでいますが、コスメ誌は調子がよく、その中でも講談社は1位になれたという感じでしょうか」(同)