市場拡大で急成長 中国のスマホゲーム、その「パクリ」事情とは?
上に書いたように、中国では有力ネット企業が競い合って出しているアプリストアからアプリをダウンロードする。アプリストアを使ってもらうこともネット企業のユーザーの囲い込みである。彼らプラットフォームを億単位のユーザーが利用するようになれば、数の力の正義で、どんな酷いゲームの模倣をしようが市場で圧勝できる。GooglePlayなどでNGとなるグレーゾーンなアプリも、GooglePlayの審査を通すことなく配信が可能だ。 これまで騰訊など模倣ゲームを出して成長してきたが、これまで法律的に懲罰が下ったことはなく、「悪性競争」を放置するしかなかった。せいぜいユーザーやメディアが「これはひどい」と警鐘を鳴らすことしかできなかった。 最近では10月20日に4回目を迎えたスマートフォンのゲームイベント「第4届MGS中国移動遊戯大会」において、同大会の主催者と、中国政府文化部文化市場司の司長である陳通氏が、中国ゲームベンダーが力をつけられるようにすべく、クリエイティブの産業保護を目指すと発言した。 しかし、明確に罰則が発生するまでは、企業の規模の大小を問わず、ゲームベンダーがグレーゾーンなニセモノゲームを出すだろう。 日本企業が中国のモノマネゲームに対抗する方法としては、ユーザーを多く抱える強い中国企業と提携することが挙げられる。 「黒猫のウィズ」は中国に強い日本のゲーム会社アクセスポートと、同社と独占的ライセンス契約を締結した北京魔遊が共同で運営している。また「モンスターストライク」は、先に紹介した騰訊と提携している。中国側の企業が運営の権利を持てば、損しないため、ニセモノに対ししっかり対処を行う。そっくりなソフトを出した企業でも、提携すれば頼もしいパートナーとなるのだ。 ----------- 山谷剛史(やまや・たけし) アジアITジャーナリスト。中国アセアンインドのITを現地の市民目線で執筆や講演。 最新刊『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』Amazon/Koboなどで発売中。