市場拡大で急成長 中国のスマホゲーム、その「パクリ」事情とは?
中国の一部のゲーマーは、日本のスマホゲームを既に遊んでいるため、彼らが特定の中国のゲームが日本のゲームのモノマネと感づくと、「これって日本のあのゲームのほぼ全部モノマネじゃないの?」と、掲示板などに書き込む。他の中国人の反応は「恥ずかしいね……」「中国のゲーム産業は伸びないわ……」というのが定番の反応だ。中国でメジャーなゲームのモノマネとなれば、ネットユーザーの批判はより鮮明なものとなる。モノマネが多い国ではあるが、人々はモノマネを基本的に歓迎しない。 中国ネット3大企業の「騰訊(Tencent)」は、モノマネゲームが多いとネットで非難されている。「騰訊のモノマネゲーム(山寨遊戯)」で検索してみると、「騰訊のゲームの模倣史と若干の創新」「騰訊の10大無節操偽ゲーム」「模倣ゲームでなければ騰訊のゲームにあらず」など、よくもここまでボキャブラリーが出るものだと感心するほど、同社のゲームが非難されている。 騰訊は、チャットソフト「QQ」や、最近ではチャットアプリ「微信(WeChat)」などで、億単位のユーザーを抱える会社だ。同社が出すサービスは、共通のIDで基本利用が可能だ。後出しで模倣サービスを出し、騰訊が自社サービスユーザー向けにプッシュすると、億単位のユーザーが後発の模倣サービスを利用してしまう。オンラインゲームは利用者数が人気の目安となってしまうので、先発のベンチャー企業がどんないいゲームを出したところで、後発の騰訊が市場で勝ってしまう。 影響力なき中小企業がモノマネゲームをリリースするなら、一笑して終わる。中国市場が厄介なのは、実は騰訊のような、はじめから億単位のユーザーを抱える大企業が、平気で頻繁に模倣サービスを出すため、面白いゲームをリリースするベンチャー企業をロードローラーのようにペチャンコにしてしまうことなのだ。これを中国では「悪性競争」と呼んでいる。