国内版「ワーホリ」人口減に悩む自治体と若者つなぐ…地方移住「関心」都市部で35%、高まる熱に応えられるか
国は2016年度、ワーキングホリデー事業を行う自治体に対し、費用を半額補助する制度を開始。就業体験に加え、地域と交流する催しの開催が条件で、制度を活用した自治体は、16年度は8だったが、徐々に増え、昨年度は最多の57となった。
参加者は受け入れ先の事業者から給料を受け取りながら、その地域に滞在でき、今年3月までに延べ約5100人が利用した。
高知県馬路村は、農家で特産品のユズの収穫体験を実施。17年以降、延べ89人が参加し、「自然の中で働くのが気持ちよかった」と好評という。宮城県石巻市は、漫画家・石ノ森章太郎の「石ノ森萬画館」周辺の店やイベントを紹介するウェブ記事を執筆してもらっている。
「関係人口」増加
移住者を呼び込むハードルは高い。
国の調査によると、補助制度が始まって以降、参加者の81%が「また訪れたい」と回答。ワーキングホリデーをきっかけに、定期的に地域を訪れる「関係人口」となるケースは多い。しかし、実際に移り住んだのは、国の制度を利用した約5100人のうち141人にとどまる。移住しても定住せず、短期間で転出していく人もいるという。
国学院大の嵩和雄准教授(移住施策)は「関係人口となった人たちに、自治体がその後も継続的に地域と関われる取り組みを続ければ、移住につながっていくのではないか」と指摘する。