厚労省が医師偏在総合対策を策定 不足地域で手当増額支援など 8年度の施行目指す
医師が都市部など特定の地域に集中し、地方で不足している「偏在」を是正するため、厚生労働省は25日、対策推進本部を開き、不足する地域で働く医師の手当てを増額する支援などを盛り込んだ対策パッケージを策定した。厚労省は医師法などの改正案を作成して来年の通常国会に提出し、令和8年度の施行を目指す。施行後5年をめどに効果を検証する。 対策パッケージでは、人口減少よりも医療機関が減るスピードが速い地域などを「重点医師偏在対策支援区域」と定義した。都道府県が重点区域を選定し、診療所を開業する際の設備費用を補助するほか、現地で働く医師や派遣される医師への手当ての増額といった経済的インセンティブを設ける。 手当て増額の財源は医療保険料から充当し、加入者の負担が増えないようにする。健康保険組合連合会(健保連)など保険者が対策の実施状況や効果を確認できる枠組みもつくる。 一方、外来の医師が過度に多い地域では、新規開業希望者に対し、都道府県が在宅医療や救急医療など地域で不足する医療を提供するように要請し、正当な理由なく従わない場合は勧告や医療機関名の公表ができるようにする。保険医療機関の指定期間を6年から3年などへの短縮、補助金の不交付などの措置もとるとした。 このほか中堅・シニア層の医師などと医師が不足している地域の医療機関とのマッチング機能の支援や、都道府県と大学病院などの連携パートナーシップ協定締結を推進する。 同日の対策推進本部で、福岡資麿厚生労働相は「関係者が一丸となって、医師偏在の是正に取り組むことで、将来にわたって地域で必要な医療提供体制を確保することが重要だ」と述べた。