自分の体、命のことは自分で決めよう。”生ききる”までの治療法を考える【75歳からのがん治療】
がんに罹患する方の半数近くを75歳以上の方が占めています。75歳というのは、日常生活に制限がなく過ごすことのできる期間、健康寿命とされる年齢です。 【続きはこちら】「これからの生活で何を大事にしたいか」が治療法の指針になる 個人差がありますので一律にとは言えませんが、おおよそ75歳を超えると、がんへの対応は、治療の効果と心身への負担のバランスを取りながら考えていくことが大事になります。 高齢の方ががん治療を選ぶ際に知っていただくと役立つ情報をまとめた一冊『75歳からのがん治療 「決める」ために知っておきたいこと』より、役立つ章をピックアップしてお届けします。
自分の体、命のことは自分で決めるのが基本です
がんの疑いがあるとわかった段階から、患者さんはさまざまな選択を迫られることになります。自分の命は、ほかに替えようのない自分だけのものです。家族といえども、命にかかわる選択について、本人の意向を無視して勝手に決めることはできません。とはいえ高齢者の場合、周囲の協力なしに治療を続けたり、療養生活を送ったりするのは難しいという面もあります。 だからこそ、本人をまじえながら家族で相談し、互いに納得のいく選択をしていくことが大切です。
家族のかかわり方
高齢者のがんに対しては、家族もなんらかの形でかかわることが多くなります。率直に話し合ったうえで、最終的には本人の考えを尊重し、決めるべきことに答えを出していきます。 ■話し合う時間をつくる 医師からは、いくつかの選択肢を示されるでしょう。多くの場合、その場で返答を求められるわけではなく、検討する時間が設けられます。できれば家族で集まり、話し合いましょう。 ■結論を急がず、本人の思いを聞く 「治療するの? しないの?」と択一を迫るのではなく、本人が今までなにを大事に過ごしてきたか、ゆっくり話を聞いてみましょう。そのうえで、本人が大切にしたいことを損なわないようにするにはどうすればよいか、考えていきます。 ・痛みや苦しみは最小限に ・弱った姿をさらしたくない ・納得のいくまで、 十分な治療を受けたい ■病院へのつきそいは状況しだい 医師から診断結果などについて説明があるときは、家族の同席を求められることが多いでしょう。ただし、高齢であっても自立した生活を送り、身近に家族がいないなどという場合には、医師と本人のみで話を進めることもあります。 ■無理のない支え方を考えていく 治療中、治療後の生活にも目を向け、必要なときに必要なサポートを得られるよう、環境を整えていくことも考えます。