広島・秋山 1億8000万円で更改「まだ必要と思ってもらえるように」 世代交代に待ったをかける
広島・秋山翔吾外野手(36)が10日、広島市南区の球団事務所で契約更改交渉に臨み、3000万円増の年俸1億8000万円プラス出来高払いでサインした。今季はリーグ3位の158安打を積み重ね、日米通算2000安打まであと206本。シーズン216安打のプロ野球記録を持つ1番打者は、新井貴浩監督(47)が将来を見据えたチームづくりを予告する中、世代交代に待ったをかける決意を示した。 秋山は交渉後の記者会見で「今季は目いっぱいやったつもりなので」と語った。35分間の交渉を終え、3000万円増の年俸1億8000万円プラス出来高払いでサイン。口をつく言葉には一定の達成感と、リーグ4位に終わったチームとしての悔しさが入り交じった。 「(広島入団後の)1年半、納得できる数字が残せておらず、もう一回やるぞ…という気持ちで入り、クリアできた面もあった。ただ、チームとして勝てなかったことを考えると、まだ力不足の面があったのかな…と」 3年契約の最終年だった今季は、危機感をバネに攻守に存在感を発揮した。主に「1番・中堅」で138試合に出場。リーグ3位の158安打、同5位の打率・289、4本塁打、30打点をマークし、5年ぶり7度目となるゴールデングラブ賞にも輝いた。 「新井監督の配慮で慣れ親しんだ打順、ポジションをやらせてもらい、ここで結果が出なければ終わり…という気持ちだった。ここが自分のベースなんだ…と再確認できた」 広島移籍後ではキャリアハイ。日米通算2000安打まで残り206本となった。西武在籍時の15年に、シーズン216安打のプロ野球記録をつくったヒットメーカー。個人記録は二の次、チームの勝利最優先でも偉業には意欲をにじませる。 「残り何本か…は把握している。ただ若い選手と違って、勝利に貢献できる戦力でいないと、この年齢の人間を使う意味がない。いろんな配慮もされているけど、甘えないように。自分でつかみ取り、勝ち取りたい」 7日に広島市内のホテルであったOB会。新井監督は壇上で「3年後、5年後のカープを考え、新しい力を育てないと光が差してこない」とし、将来を見据えたチームづくりの必要性を強調した。秋山は、指揮官の発言を当然と受け止め、その上で闘志を燃やす。 「よほどやらないと3年後に残れない。まだ必要…と思ってもらえるように。その積み重ね。秋山を使って良かった…という試合を増やせるように、心身を鍛えて頑張りたい」 V奪還へ、偉業達成へ、自力でポジションを勝ち取り、ベテランの存在感を示す。 (江尾 卓也) ○…秋山が、9日に77歳で死去したフリーアナウンサーの小倉智昭さんをしのんだ。「公私でお世話になった。凄く残念です」。熱心な西武ファンとして知られ、19年オフのメジャー挑戦後も交流があったという。「成績で引っ張る選手もいいけど、リーダーとしてやっていくなら、若い選手やチームのことを考えなきゃいけない…と。期待していただかないと、その言葉は出てこなかったと思う。凄くありがたく、やらなきゃいけない気持ちになった」と感謝の思いを口にした。