「スーツが義務の会社」が与える不要な威圧感...伝統的な日本企業の閉塞感の原因
金融市場が加熱する一方で、歯止めがきかない少子高齢化、高騰する物価に比例しない実質賃金。そんな日本の状況に不安を感じ、ここで働く希望が見えないという若年層の声は少なくない。 コクヨ株式会社では、働き方や未来社会についての調査・統計を、社内リサーチ部門であるヨコク研究所にて行っている。今年1月にはヨコク研究所から、研究レポート『同調から個をひらく社会へ―文化比較から紐解く日本の働く幸せ―』を刊行した。レポートには働く幸せの在り方について、ウェルビーイング研究のトップランナーである内田由紀子教授との共同研究内容がまとめられている。 その刊行記念イベントが2月21日に品川のコクヨ本社「THE CAMPUS」にて行われた。トークには内田教授をはじめ、コクヨの代表取締役社長・黒田英邦さん、ヨコク研究所のメンバーで冊子の編集も担当した田中康寛さんが登壇。研究レポートの内容をもとに、日本人の幸福観や働く幸せを得る方法について話し合った。
調査で見えた「日本と欧米の幸福観の違い」
まず、今回の調査対象国となったアメリカ、イギリス、台湾と日本の幸福の感じ方の違いについて調査をもとに解説してくれた。 「アメリカやイギリスは、昇進などで自分自身の充実や躍進することに幸せを感じやすい傾向があります。一方で、日本人は昇進によって幸せを感じる人は少数で、他者との関係性に幸せを見出しやすいことがわかりました。同じく台湾もチームや家族との関係性が幸せにつながりやすく、東アジアにおける共通点があるように考えられます。」(田中さん) 人間関係が日本人の幸福を左右することは少し意外な結果かもしれない。内田教授によると、日本人の人間関係は複雑で、アンケートでも"友人は少ない"と答える人は多いという。 「日本人とアメリカ人の人間関係をソシオグラム※で表してもらうと明確な違いが見えてきました。日本人は少数でも居心地の良い人間関係を重視します。一方、アメリカでは自分が中心となり、より多くの知り合いがいることが良しとされます。 日本は会社においても、気の合う仲間を見つけることが、働きがいにつながると研究から考えられます。」(内田教授)