日銀・黒田総裁会見1月23日(全文1)強力な金融緩和を粘り強く続ける必要
5年の振り返りと現在の状況、2%目標もしくは共同声明の見直しの是非について
時事通信:ありがとうございます。時事通信社、【タカハシ 00:09:30】です。デフレ脱却を目的に2%の物価目標導入などを盛り込んだ、政府、日銀の共同声明が13年1月に公表してから5年がたっております。先ほどのお話もありましたが2%の目標は達成できていませんが、経済閣僚からはその後、デフレ脱却に向けて着実に進んでいるといった意見も出ております。あらためて、この5年の振り返りと現在の状況、そして2%目標、もしくは共同声明の見直しの是非について、あらためてお聞かせ願えますでしょうか。 黒田:ご指摘のとおり、共同声明は2013年の1月に政府と日本銀行において合意され、公表されたわけでありまして、その中でも明示されておりますとおり、日本銀行は2%の物価安定目標の実現を目指して金融緩和を行って、それを実践していくということになっております。 その下で、2013年の4月以来、量的・質的金融緩和の導入、さらにはその後、物価上昇率が消費税の導入の影響を除いても1.5%程度までいったわけですけども、その後、消費の低迷であるとか、最も大きくは石油価格が110ドル、120ドルぐらいからどんどん落ちていきまして、最終的には30ドルを割るぐらいまでいったんですけれども、そういった石油価格等の下落から、実際の物価上昇率が低下していって、それが予想物価上昇率にもマイナスの影響を与えるという形で、物価上昇率2%の達成というのが遅れてきてしまったわけですね。 その中で、元より日本銀行としては、量的・質的金融緩和の拡大、マイナス金利の導入、そして一昨年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入、そしてその下で、経済、景気に関しては先ほど申したように緩やかに拡大するという状況になってきておりますし、企業収益あるいは家計の所得等も大きく改善して、その下で経済の、要は好循環が続いているわけですけれども、物価はまだ2%の目標にはほど遠い状況にあるということでございますので、引き続き2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために、しっかりと金融緩和を続けていきたいというふうに思っております。 そうした下で、私どもから見て2%の物価安定目標というものを変更する必要があるとはまったく考えておりません。そして、この共同声明について、何か変更する必要があるというふうには、私どもも思っておりません。引き続き、粘り強く金融緩和を続けて、2%の物価安定目標をできるだけ早期に達成したいというふうに考えております。