日銀・黒田総裁会見1月23日(全文1)強力な金融緩和を粘り強く続ける必要
後の政策金利の調整の方針について
毎日新聞:それでは幹事からあと2問、質問させていただきます。1つは今後の政策金利の調整の方針についてです。今回の展望レポートでも示されたように経済や雇用情勢の改善は続いておりまして、現在、消費者物価指数は生鮮食品を除いても総合で1%近くまで上昇しております。今後、2%に向けて物価上昇の勢いは高まっていく場合に、現在、短期をマイナス0.1、長期を0%程度に誘導している金利水準についても調整が必要とお考えでしょうか。またどのような条件が整えば調整を行う可能性が生じるのか、お考えをお聞かせください。 黒田:先ほど申し上げたとおり、わが国には景気が緩やかに拡大している一方、物価は弱めの動きが続いております。他の主要国でも同様の傾向は見られますけれども、物価上昇率が1%台半ばで推移している米欧と異なり、わが国の消費者物価の前年比はエネルギー価格の【企業 00:06:58】を除いてみますと、小幅のプラスにとどまっております。このように2%の物価安定の目標の実現までには、なお距離があることを踏まえますと、いわゆる出口のタイミングや、その際の対応を検討する局面には至っていないというふうに思います。日本銀行としては引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが日本経済にとって必要であるというふうに考えています。
ETFの買い入れについて
毎日新聞:それではもう1点お伺いします。ETFの買い入れについてお尋ねいたします。12月28日に公表された主な意見によりますと、12月の決定会合で委員の中から株価や企業収益が大きく改善していることなどを踏まえ、政策効果と考えうる副作用についてあらゆる角度から検討すべきとの問題提起がありました。リスクプレミアムに働き掛けるという当初の政策目的からも必要性が薄れつつあるようにも思えますが、今後も継続する必要性はなんなのか。あるいは、どのような条件が整えば見直しを行うのかお考えをお聞かせください。 黒田:ETFの買い入れにつきましては従来から長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの1つの要素として、株式市場におけるリスクプレミアムに働き掛けることを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくという観点から実施しているわけであります。こうしたリスクプレミアムへの働き掛けは、これまでのところ大きな役割を果たしてきていると思います。 一方で、本日公表いたしました展望レポートでもしてきたように、これまでのところ、株式市場において過度な期待の長期化を示す動きは観察されておりません。また、コーポレートガバナンスなどの面でもETFの買い入れが大きな問題になっているとは考えておりません。従いまして、日本銀行としては現時点でEFT買い入れを見直す必要はないと考えております。先行きについては2%の物価安定の目標を実現する観点から、その時々の経済とか金融情勢を踏まえながら適切に判断していく方針でございます。 毎日新聞:幹事からの質問は以上です。皆さん、よろしくお願いいたします。