11月はSIDS対策強化月間。「うつぶせ寝」はどれくらい危険? 乳幼児突然死症候群のためにできること【小児科医】
起きている間の「うつぶせ」タイムで、SIDS対策!
寝ている間の安全な睡眠環境はもちろんですが、起きている間に「うつぶせ」タイムを取ることは、SIDS対策になります。 具体的には、赤ちゃんが退院した直後から、数分間などの短い時間からスタートします。あお向けに寝た親のおなかの上に、赤ちゃんをうつぶせで乗せてあげると、トライしやすいです。こうして徐々に時間を増やしていき、生後2カ月ごろまでには、1日の合計で15~30分をあてるといい、という提唱もあります。この「うつぶせ」タイムは「タミータイム」ともよばれ、アメリカ小児科学会がかかげるSIDS対策として、2022年の改訂から、さらに推奨度が高まりました。 なぜ起きている間のうつぶせタイムが有効なのかというと、「普段からうつぶせに慣れていない赤ちゃんが、寝ている間にうつぶせになってしまうことが、SIDSのリスクを高める」という報告があるからです。なお、うつぶせタイムを取ることは頭の形(絶壁、左右の非対称)の対策にもなるため、一石二鳥ですね。
「温めすぎない」のも大事
「赤ちゃんが寝るときの、室温とか、服装とかって…何を基準にしたらいいのでしょうか?」(生後1カ月) ベッドには何も入れない。起きている間のうつぶせタイム。そのほか、SIDS対策としては家族全員の禁煙などのポイントがありますが、意外と知られていないのが「温めすぎない」ことです。 SIDSにはさまざまな因子が報告されている、と書きましたが、赤ちゃんの体を温めすぎることもSIDSのリスクになる、という報告があります。詳しいメカニズムは不明な部分が多いですが、赤ちゃんの体温が温まりすぎると、呼吸などの自律神経系の調整がうまくいかなくなり、結果として突然死につながることが報告されています。 しかし具体的に、部屋の温度や、赤ちゃんの服装については、公的機関の見解はありません。というのも、部屋の空調温度を同じにしたところで、部屋の湿度や、部屋の空調の種類、部屋の広さなどによって、実際に生じる赤ちゃんの体温は異なるからです。 唯一の公式見解として、アメリカ小児科学会は「大人が着ている枚数以上に、赤ちゃんに厚着をさせないこと」「赤ちゃんがスリーパーを着ている場合は、ブランケットはいらないこと」を提示しています。また、複数の医師が世界中の研究を分析し記事を執筆している「UpToDate」という医療サイトでも「大人が薄着して、ちょうどいいぐらいの温度がいい」「ヒーターや直射日光の当たるところで、赤ちゃんを寝かせないように」という提案が示されています。 また赤ちゃんの胸を触って熱いと感じる場合や汗をかいている場合などは、厚着のさせすぎや「暑すぎる」というサインです。冬場はつい毛布を使ったり、室温を高くしたりしがちですが、毛布ではなくスリーパーで調整し、大人よりも厚着させないことを意識しましょう。
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