11月はSIDS対策強化月間。「うつぶせ寝」はどれくらい危険? 乳幼児突然死症候群のためにできること【小児科医】
「寝返り返り」ができない場合は、とにかく安全な睡眠環境を
「うちの子、うつぶせからあお向けになるのは、まだできなくて…こういう場合は、やっぱりうつぶせ寝していたら、毎回戻さないといけないんでしょうか?」(生後4カ月) 寝返りができるようになる時期は個人差が大きいですが、早いと生後2~3カ月ごろから寝返る子も。ただし多くは「うつぶせ→あお向け」がまだできず、やはり寝ている間の心配はつきないものです。 「寝返り返り」ができない場合については、世界を含め、公的な機関から正式な声明は出ていません。「寝返り返り」ができる赤ちゃんに比べると、やはりうつぶせ寝によるSIDSのリスクは低くないと考えられるからです。 この場合は「安全な睡眠環境をとにかく整えること」で、保護者も休める時間をつくる、というのが現実的な案になります。 最も大切な対策は「ベビーベッドの中に、何も置かないこと」です。アメリカ小児科学会では、赤ちゃんのベッドに置いていいのはシーツのみであり、枕や布団などはいっさい置かないことを推奨しています。部屋が寒いなど体温調整が必要な場合は、「スリーパー」と呼ばれる寝袋のようなものを赤ちゃんに着せます。日本では産院でも家庭でも赤ちゃんに布団をかけることがありますが、これはSIDSの観点からは非常に危険です。今年度から、SIDSの啓発ポスターにも、布団・ぬいぐるみ・タオルを置かないこと」が明記されるようになりました。 またアメリカ小児科学会のSIDSに関する提言は2022年に改定されたのですが、そこに「バウンサーなど、傾斜のある場所で寝かせないこと」が新たに加わりました。赤ちゃん専用の、かためのマットレスで寝かせることなどはもともと推奨されていましたが、その後、バウンサーやベビーラックなどで赤ちゃんが寝ている間に突然死する報告が相次ぎました。もちろん、一時的に赤ちゃんをあやしたりするためには、バウンサーは使っていいのですが、寝ついたあとは、ベビーベッドなど安全な場所に移動させることが大切です。 なお、寝返り返りができていたとしても、これらのポイントはとても大切です。寝ている間にうつぶせになってしまい、それに気づかなかったとしても、少しでも安全な環境で過ごせるように、今一度、睡眠環境を見直してみましょう。
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