静岡県内ディーラー、カスタムカーに商機 既存車+自分らしさ 顧客要望に細かく対応
既存の販売車種をカスタマイズし、より自由な使い道を顧客に提供する動きが、静岡県内の自動車ディーラーや販売店の間で広がっている。新型コロナウイルス禍で定着したアウトドア用途のほか、近年増加する災害の発生時に備えたいとする需要が目立つ。各社はユーザーの要望にきめ細かく応じた内装レイアウトを提案するほか、カスタムカーの利用を実際に楽しめる場を整えるなど、顧客の裾野拡大と収益力の強化を図る。 三島ダイハツ(長泉町)は3月、キャンピングカーの販売店兼工房「キャンピングカーガーデン」を裾野市に開設した。ダイハツの「ハイゼットトラックパネルバン」をベースにした独自商品を取り扱う。壁や天井材に富士ヒノキを採用し、山小屋のような雰囲気を演出した。専用パレットを組み替えてベンチやテーブルとして使用できるほか、フルフラットな空間に変形させ、大人2人の車中泊も可能。顧客の好みに合わせた備品の寸法調整にも応じる。 同社によると、災害時の寝泊まりやペット同伴の避難を想定した需要がある。内村靖社長は「各社の競争が激化する中、独自商材で違いを際立たせることが生き残るために重要」と強調。品ぞろえを拡充し、収益の4割を占めるキャンピングカー事業を3年以内に6割まで成長させる方針だ。 静岡スバル自動車(静岡市清水区)は、悪路走破性が高いブロックタイヤや、荷台にテントを張る際に役立つロールバーなど同社限定装備が付属する軽トラックを販売した。担当者は「正規ディーラーが対応することでカスタマイズの敷居が下がる。潜在需要の掘り起こしと収益増を図る」と強調する。 車と合わせてレジャーを楽しむ空間を提供するのはトヨタユナイテッド静岡(同市葵区)。車の購入者に、同社が富士宮市で運営するキャンプ場を無料で1回利用できる特典を付与している。2025年1月に、ハイエースに簡易シャワーや滑りにくい床材を備え、愛犬との利用に特化した商品を市場投入する。6月にはスポーツ車「86(ハチロク)」や「スープラ」の特別仕様車を取り扱う店舗「GRガレージ」を沼津市にオープンし、カスタマイズも受け付ける。
静岡新聞社