【大学トレンド】「家政学部」が消えて「フードビジネス学科」へ ラテアートから料理撮影まで
「在学中に商品開発したい」
日本で初めて、フードビジネスについて独立した学科を設置したのは、名古屋文理大学です。05年に健康生活学部フードビジネス学科を開設。栄養や食品についての知識から、店舗の運営や経営、起業のノウハウや商品開発マーケティング、パッケージデザインなどの専門知識やスキルを身につけることができます。 同学科4年の小澤すずなさんは、食の商品開発に関わりたいという目標があり、同大学に進学しました。食に関して学べる大学は、管理栄養士になることを目的としているところが多いなかで、同大学の説明会に足を運んだところ、栄養や健康よりも、おいしさを追究してそれを多くの人々に伝えることに自分の興味があることに気づきました。 「例えばスターバックスで季節ごとの期間限定商品が出るのが楽しみだったり、テレビ番組でコンビニの商品開発の裏側を見るのが好きだったりして、自分も商品開発をしたいと思いました。名古屋文理大学は在学中に商品開発ができるところに魅力を感じました」 入学後に驚いたのは、実習の多さです。調理実習や製菓実習から、ラテアート、テーブルコーディネート、料理の撮影方法まで、幅広く実習の経験を積みました。
考えたレシピがグランプリ受賞
3年次には商品開発のゼミに所属。地域の食品商社やメーカーとの産学連携で、フードビジネス学科のほとんどの学生が商品開発に関わります。 「私はダイナゴンという老舗の菓子メーカーの商品開発プロジェクトに参加しました。メーカーからのオーダーは、看板商品であるカステラをアレンジした、若い世代にも買ってもらえるような新商品。駅のお土産コーナーを観察することから始めて、アンケートの分析や流行などを踏まえて新商品を考え、自宅で試作を繰り返し、プレゼンしました」 ゼミでの商品開発と並行して、愛知県安城市産の農畜産物を使用したPR丼「ANJO-DON(安城丼)」のレシピコンテストにも応募しました。同大学は安城市と連携していて、このコンテストはフードビジネス学科の全学生を対象に毎年実施されています。小澤さんは23年度に「やみつき間違い“梨”‼韓国風プルコギ丼」でグランプリを受賞しました。 この安城丼は、市の特産物である梨を風味づけやお肉を柔らかくするために活用し、具の野菜は規格外のものを細かく刻んで使用しました。商品化して産直販売店で販売されることが決まっています。 「実習のほかに食と環境、SDGs、マーケティングなど3年間の学びを作品に生かせたことが、受賞につながったのだと思います。商品開発の経験を通して、リサーチのためにお店に足を運んだり、試作をしたり、メーカーへのヒアリングをしたりといった実行力や、商品をアピールする提案力が身についたと思います」