【解説】石破新総裁“誕生のウラ側”…5回目の挑戦制す 勝敗のポイントは
──2つ目の注目の数字は何でしょうか? これは決選に進めなかった小泉陣営の議員票の数字「75」です。というのも、党内では小泉さんが決選投票に進み、石破さんとの戦いになれば「小泉さんが優位」という見方がありました。小泉陣営からは「1回戦を勝ち抜けば決選は勝てる」という声が多く出ていました。そこで劣勢と言われた党員票の分を挽回すべく、ここ数日、相当激しく他陣営から議員票の引き剥がしを行っていました。陣営内からは「議員票は90近く行く」と言う声もあったのですが、蓋を開けてみたら議員票は「75」にとどまり、そこまで伸びなかったことが決選に進めなかった要因です。 決選では国会議員票の重み増しが大事になります。その議員票でかなわないとみられていた小泉氏が、1回戦で敗退したことが、石破新総裁誕生につながったと言えます。
──では、平本さんが注目した気になる3つ目の数字とは? 3つ目は、会場で開票のときに、どよめきが起きた数字がありました。1回戦で高市さんが獲得した党員票「109」です。1回戦では石破さんが党員票では1位になるとみられていたので、高市さんがトップになったのは驚きでした。 ただ、日本テレビの独自の党員調査でも、高市さんが党員票を約110票獲得すると分析していました。さらに、選挙期間中、高市さんが上昇傾向を示していたため、最後はトップになった、とみています。党内から「高市さんが党員票をここまで獲得するとは思わなかった」と驚きの声があがっていました。
■投票の舞台裏で…意外な動き
──そして2つ目。舞台裏では意外な動きがあったのでしょうか? 注目したのは、今回の総裁選から設けられた新たな「10分間」の攻防です。決選投票の前に1人5分ずつ、合計10分の演説の時間が設けられました。これまではなかったものです。多くの議員が、この時間に派閥のトップなどから「決選ではこの人に投票を」という指示がくるのでは?と話していた。あるグループでは具体的な戦略も立てていました。 「2段階メール作戦」といわれていて、ある党内のグループでは、トップが同期のリーダーにまず1段階目でメールを送り、そのリーダーが同期の議員にメールを回すというルールを事前につくっていました。会場で取材していた記者に聞いたところ「投票中、演説中に携帯を気にしていてチェックしていた議員がいた」ということです。石破さんが勝利した背景には、こうした派閥単位でまとまった票の動きがあったのではないかと、今さらなる取材を続けています。