【解説】石破新総裁“誕生のウラ側”…5回目の挑戦制す 勝敗のポイントは
日テレNEWS NNN
自民党の総裁選は27日午後、決選投票が行われ、5回目の挑戦の石破茂氏が勝利し、新たな総裁に選ばれました。総裁選の舞台裏では一体、何が起きていたのでしょうか。総裁選の取材を続けてきた政治部官邸キャップ・平本典昭記者が、以下の3つの疑問をポイントに解説します。 【動画】決選投票で敗れた高市早苗氏がコメント 自民党総裁選 1. 勝敗を分けた「3つの数字」 2. 投票の舞台裏で…意外な動き 3. 石破新総裁…直面する課題
■勝敗を分けた「3つの数字」
──まず、勝敗を分けた「3つの数字」とは何の数字でしょうか? 1つ目の数字は、決選投票で勝利の決め手となった、石破さんが獲得した議員票の数「189」です。決選投票では、党員票より議員票の比重が高いため、決選でどこまで石破さん、高市さんが議員票を積み増すかが注目されましたが、本当に読みづらい展開でした。 1回目での石破さんの議員票獲得は46票。決選では189票で、143票増えました。一方、高市さんは1回目での議員票獲得は72票、決選では173票で、101票増えました。石破さんは決選で高市さんより40票以上も議員票を積み増したことが、勝利につながったと言えます。 ──石破さんが決選で票を伸ばした理由はどう分析していますか? これは詳細な分析が必要です。しかし、これまでの取材で2つのことが言えると思います。1つは、今も党内に影響力を持つキングメーカーを狙う岸田首相の支持があったことが1つの要因だとみられます。 岸田首相は周辺に「高市さんだけは応援できない」と話していました。こうした中、これまでの取材で、岸田首相が旧岸田派の議員に対して、石破さんに投票するよう指示を出していたことがわかりました。決選投票で、旧岸田派の固まった支持がプラスに働いたと言えます。もう1つは次の衆議院選挙を見据えて議員心理が働いたとみられます。
──選挙を見据えると、高市さんには不安があったということでしょうか? 総裁選の討論などを通して、高市さんには2つの不安の声があがっていました。1つ目はいわゆる裏金議員へのスタンスです。高市さんは陣営に裏金議員が多かったことに加え、選挙での公認問題などで党内から「裏金議員に甘い」という声があがっていました。こうしたことから、ある自民党幹部は「裏金問題に甘い高市さんでは、衆院選はボロ負けになる」と指摘していました。 2つ目は、高市さんが打ち出した保守色への警戒感です。高市氏の「総理になっても靖国神社に行く」といった主張などに対して、党内からは「過激すぎる」という声もあがりました。立憲民主党の新しい代表が、保守的なスタンスな野田佳彦さんになったことで、「穏健な保守層が立憲に奪われる」と不安視する声も自民党内には出ていたんです。こうした仮に首相となった時の高市さんに対する不安感が、石破さんへの投票につながったのでは、とみています。