「2026年卒」就活早くも本格化…「まず首都圏、ダメなら県内」北陸新幹線延伸で流出の懸念
2026年春に大学卒業予定の3年生の就職活動が、すでに本格化している。人手不足が続く福井県内では、地元企業が新卒の人材確保を目指すものの、学生優位の「売り手市場」であることに加え、北陸新幹線県内延伸で首都圏でも活動しやすくなったことが、新卒採用に影響を及ぼしているようだ。(内田郁恵)
福井工業大(福井市)で3日、主に3年生を対象にした「学内合同企業研究会」が始まった。計9日間で県内外の400社以上がブースを設け、学生に業務内容などを説明する。
40社以上が出展した同日、県内メーカー3社のブースを回った工学部3年生(21)は「地元でものづくりに携わりたいので、いろいろな企業の話を聞きたい」と話した。
政府が求める新卒採用のルールでは、会社説明会などの採用広報は3年生が終わる3月からとされている。しかし、優秀な学生と早い時期に接触したい企業側と、内定を獲得して安心感や余裕をもちたい学生の意向もあり、県内でも就職活動の早期化が進む。
福井工大は2年前、企業研究会の開催を年明けから年内に切り替えた。同様に「業界研究」をうたって企業と学生との接点をつくるイベントは県立大(永平寺町)、仁愛大(越前市)が11月に実施し、福井大(福井市)も今月13日に開催する。
県内では、深刻な担い手不足が続く。10月の有効求人倍率(季節調整値)は1・94倍と全国平均(1・25倍)を大きく上回り、79か月連続で全国トップとなっている。一方、県内企業の78%を従業員10人未満の小規模事業所が占め、多くは学生に知られていないとみられる。
今回の福井工大の研究会では、名の知られた企業のブースに学生が集中していた。建設用3Dプリンターなど最新の技術を導入する福井市の建設会社の社長は「直接話ができれば学生に興味を持ってもらえるはずだが、認知度でかなわない」と苦笑する。
今年の大きな変化は、3月の北陸新幹線県内延伸だ。福井と首都圏の行き来が容易になり、首都圏への人材流出につながっているとの声が出ている。