コインチェック、米ナスダック上場の目的・グローバル戦略──メジャーで戦うために“世界共通買収通貨”を手に入れる【松本大氏 緊急インタビュー】
世界でただ2つの上場暗号資産取引所に
──2022年3月に米ナスダック上場計画を発表されたあと、4月にCoinDesk JAPANでインタビューを行っており、その際には「コインベースと戦うことは考えていない」とおっしゃっていた。 松本氏:かつて、日本のプロ野球選手がメジャーリーグで活躍できるとは誰も思っていなかった。しかし、同じルールでやっているから、野茂、イチローが出てきて、今、大谷選手が大活躍している。もし、日本独自のルールでやっていたら、永遠にメジャーリーガーは生まれなかった。 我々も2年半前はグローバル大手のコインベースやFTXと戦うとは考えていなかった。それが今ではFTXが去り、コインベース一強のようになっている。もうすぐ、我々は世界でただ2つの上場暗号資産取引所の1つになる。戦い方、戦略は変わってくる。すぐには戦えないとしても、同じルールでやっていれば、いつかメジャーリーグに行けるかもしれない。そういう可能性をつかむために、今までやってきた。 上場自体が目的ではなく、アクイジション・カレンシーを手に入れて、暗号資産のトレーディング・プラットフォームのみならず、広くブロックチェーン、Web3の分野で、ビジネスや人材を拡大していきたい。 ──グローバルにビジネスを進めるなかで、今の日本のWeb3の状況をどう見ているか。可能性はあるが進展が遅いのか、何かブレイクスルーが必要なのか。 松本氏:法的な環境、規制当局の姿勢は立法府も含めて、前向きだと思う。だが税制が今のままでは、暗号資産のトレーディングだけではなく、トークンを使ったいろいろなエコノミーにおいてきわめて大きな足かせになる。海外から大勢が「日本は金融庁も自民党も前向きらしい」「エル・ドラド(黄金郷)だ」とやってきても、税金のことを知ると「ビジネスできない」と帰ってしまう。 例えばドイツですら、投資と決済を分け、決済にはそれほど税金をかけないようにしている。日本は規制当局も立法府も前向きだが、税制が新しい時代にフィットしていない。そこが非常に残念。ビットコインETFも、日本はすでにさまざまなインフラが発達しており、アメリカの次に、整備された形でできるだけのポテンシャルを持っているはず。日本はある意味では非常に進んでいる、あるいは進めるはずだと思う。 |文:増田隆幸|画像:松本大氏(提供:マネックスグループ)
CoinDesk Japan 編集部