なぜ角田裕毅の来季F1デビューチームとして確実視されているアルファタウリは沈黙を守っているのか?
これを裏付けるように、12月8日にはアルファタウリが最終戦アブダビGP後に開催されるF1若手ドライバーテストで、角田を起用することを正式発表した。 この若手ドライバーテストは、シーズン中にF1のテストが規制されたのに伴い、F1マシンを運転する機会がなくなった若手にチャンスを与える目的で開催され、多くの若手ドライバーがこのテストを経験した後、F1ドライバーとして巣立って行った。 今年は過去に2度のF1チャンピオンに輝きながらも、2018年を最後にF1から遠ざかっていたフェルナンド・アロンソが2021年に復帰するルノーから、この若手ドライバーテストに参加する。 また、2021年にハースからF1デビューすることが決定している、7冠王者のミハエル・シューマッハを父に持つミック・シューマッハも、この若手ドライバーテストでハースのマシンを走らせることになっている。 もちろん、この若手ドライバーテストに参加したドライバーすべてが2021年にF1にステップアップするわけではないが、これまでの経緯と関係者のコメントから推察するに、角田が2021年にアルファタウリからF1にデビューするのは、ほぼ間違いない。 それでもアルファタウリが沈黙しているのは、FIA-F2選手権は閉幕したが、F1はまだ終わっていないからだ。角田がアルファタウリのシートを獲得すれば、シートを失うのは2021年以降の契約を更新していないダニール・クビアトとなる。現時点でクビアトはアルファタウリ以外のチームと契約を結んでいないことから、アルファタウリのシートを失えば、F1からの離脱が濃厚だ。 こういう場合、F1では出ていくドライバーのプライドを傷つけないよう、新たに入ってくるドライバーの発表は最終戦まで行わないのが慣例となっている。したがって、クビアトにとって最後のF1レースになるかもしれない最終戦アブダビGPまでは、アルファタウリは角田の発表を行わず、2014年の小林可夢偉以来となる日本人F1ドライバー(レギュラードライバー)の誕生は、早くて13日決勝のアブダビGP直後、あるいはその後の若手ドライバーテスト以降となるだろう。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)