柄本佑「いつも“道すがら”を演じていたい」はじめてでも厚みを出せるように
間違いなく、「今年の顔」の一人だろう。戦のない、文字通り“平安”な時代を舞台に、自らの才能と努力で「生きて、書いて、愛した」女性の一生を描く異色の大河『光る君へ』。吉高由里子さん演じる主人公・まひろ/紫式部のソウルメイト・藤原道長を演じた柄本佑さんが、人生初にして「これが最後」と明言するフォトブック「柄本佑 1st フォトブック『1(いち)』」を上梓する。 柄本佑 Tasuku Emoto 東京都出⾝。2001 年、⿊⽊和雄監督『美しい夏キリシマ』のオーディションに合格。’03 年、同作の康夫役で主演デビュー。’18 年、 三宅唱監督 『きみの⿃はうたえる』で第 73 回毎⽇映画コンクールの男優主演賞、『素敵なダイナマイトスキャンダル』で第 28回⽇本映画批評 家⼤賞の主演男優賞、両作と『ポルトの恋⼈たち』により第 92 回キネマ旬報ベスト・ テンの主演男優賞を受賞した。’23 年 1 ⽉、 ⾃⾝が監督を務めた『ムーンライト下落合』『約束』『フランスにいる』の 3 本からなる短編集『ippo』を発表。 ’24 年、⼤河ドラマ『光る君へ』 (NHK)では主⼈公のまひろ/紫式部の⽣涯のソウルメイト・藤原道⻑を演じた。公開待機作にアニメ映画『野⽣の島のロズ』『ゆきてかへらぬ』がある。
自分が持っていて嬉しい本を作れたら
撮影は、日本を代表するフォトグラファーである森山大道さんと荒木経惟さん。それぞれの撮影した写真が16枚ずつカードになっていて、それがA5大サイズのボックスに収納されるという凝った仕様で、そこには64ページの私的マガジンもついてくる。まさに「アートブック」といった趣。ありきたりではないけれども大袈裟でもない。とても印象的な一冊だ。 柄本佑さん(以下、柄本):昔から写真集が好きで、家にもいろんな写真集があるんですが、まさか自分の写真集を出すなんて考えたことはなかったです。書籍と雑誌連載の提案をいただいたときに、「どなたか撮影してもらいたい写真家の方はいますか?」と聞かれて、軽い気持ちで、「森山(大道)さんと荒木(経惟)さん」と口に出したら叶ってしまった(笑)。 今回は、写真集を見るときに、自分がそれまで感じていたことを思い出しながら、素人なりにアイデアを出させていただきました。本づくりは初めてでしたし、印刷や紙や仕様のこととか、もっと言えば価格帯をどうするかとか、右も左もわからなかったので、「自分が持っていて嬉しい本はどんな本だろう?」ということを考えるしかなかった。