脂肪肝の原因になる食べ物は脂肪よりも糖だった!肝臓外科医が提案するフォアグラ化しないためにできることは「糖質を減らす」
肝臓全体の60%以上が脂肪化している状態になっても、まったく自覚症状が現れないという。そのため肝臓の力が弱っていることに気づかないまま、肝機能を悪化させてしまう人が後を絶たないそうだ。 【画像】あなたの肝臓もフォアグラ状態になっているかも? 日本人の脂肪肝への捉え方に警鐘を鳴らすのは、『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の著者であり、長野県佐久市立国保浅間総合病院の外科部長・尾形哲さん。 脂肪肝を招く要因としてアルコールや脂っこい食事をイメージする人も多いかもしれないが、糖質の摂り過ぎ、特に甘い飲み物を飲み過ぎることで肝臓に脂肪が蓄積されていくという。 著書から一部抜粋・再編集して紹介する。
「脂肪」よりも「糖」
みなさんの中には、自分の健康上の問題が明らかになっている人もいれば、とりあえずいまは健康だけど、これから歳をとることを考えればやっぱり少し体が不安だという人もいるでしょう。 そんな方々が「何かひとつでも健康にいいことを始めよう」というのであれば、私は迷うことなく「甘い飲み物をやめること」をおすすめします。 それだけで健康への大きなマイナス要因が減るのは間違いありません。また、これを実行するだけで、日々の体調がグンとよくなるし、健康診断の数値の結果もよくなるでしょう。 さらに、もっと長いスパンで考えれば、甘い飲み物をやめたことで、数々の病気を逃れて長く生きられるようになり、健康寿命も延びるかもしれません。 つまり、甘い飲み物は、それくらいわたしたちの体の健康に大きな影響をもたらしているのです。その健康への害は、日本のみならず、世界中で大きな問題になりつつあります。 まず、甘い飲み物の危険性を述べる前に、「糖」と「肝臓」の関係性について整理をしておきます。
余分な糖が脂肪に変わる
脂肪肝を指摘されると、たいていの人は「じゃ、脂肪分の多い食事を控えなきゃ」と考えるものです。「肝臓に脂肪がたまっているんだから、脂肪を摂るのをいまより少なくしなきゃ」と考えるわけですね。医学や栄養学によほど詳しくない限り、誰しもまずそう考えるのが普通でしょう。 でも、違うのです。脂肪肝の形成につながるのは「脂肪」よりも「糖」です。日々体内に入る糖質が多いと、それらが「ブドウ糖→中性脂肪」と変換され、余分な糖がどんどん脂肪に変えられて、最終的に肝臓に蓄積していくのです。 つまり、甘い飲み物をはじめ、ごはん、パン、麺類、お菓子類といった糖質の多い物を摂り過ぎているのがいけないということ。 もちろん、揚げ物や肉の脂身などの「脂肪が多いもの」も摂り過ぎるのはよくないのですが、これらが肝臓に与える影響は「糖質が肝臓に与える影響」に比べればだいぶ小さいのです。 肝臓に入ってくる脂肪(遊離脂肪酸)の由来を多い順に挙げると、もっとも多いのが皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織から血中へ溶け出した脂肪で、これが60%を占めます。 次に多いのが、肝臓内で糖から合成された脂肪で、これが25%。食事で摂った脂肪分が入ってくる割合は15%にすぎません。つまり、「食べた糖」がもたらすインパクトのほうが「食べた脂肪」の約1.7倍大きいのです。 しかも、食事でエネルギーを摂り過ぎている人の多くは、全摂取エネルギー量を100としたときにごはん、パン、麺類、お菓子などの糖質由来のエネルギーが60~70%を占めることが分かっています。