琴桜、自在な動きで1敗死守 豊昇龍と一騎打ちへ「集中してやる」 大相撲九州場所13日目
○琴桜(上手投げ)●隆の勝(大相撲九州場所13日目=22日) 悲願の初優勝へと突き進む琴桜が大事な一番をものにした。勝因は、重圧の中で発揮された柔らかさである。 やや早く立った琴桜に対し、隆の勝は頭で当たって右差し。一気に寄ってきた。大関は一度、はじかれた右を素早く巻き替え、右四つに持ち込んで体を入れ替える。止まらず、どんどん前に出て来られても体は動いていた。相手の右の差し手を左手で上から払い、すぐ左上手を引いて回り込みながら上手投げ。「攻め込まれて内容は良くなかったけど、しっかり最後まで慌てずいけた。嫌な形にならないよう頭に入っていた」との言葉通り、自在な動きで相手の圧力を受け流して勝負を決めた。 師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は今場所の琴桜について「腰がぶれない」と評価する。夏巡業中にぎっくり腰を2度発症した影響もあり、秋場所は8勝7敗と不本意な成績に終わったが、九州場所に向けてはウオーターバッグ(水の入った重り)を使ったトレーニングを再開するなど、いつも通り体幹を鍛えてこられたという。 大関自身も再び腰を痛めないよう、場所前の秋巡業にマットレスや腰をサポートするベルトを持ち込むなど万全を期してきた。 1敗のトップを守って残り2日。「変わらず集中してやるだけです」。唯一、2敗で追走していた隆の勝を退けたことで、優勝争いは事実上、同じ1敗の豊昇龍との一騎打ちとなった。(宝田将志)