リバウンドしにくいダイエット食! 楽しく糖質を抑える「地中海食」のススメ(専門家が監修)
地中海食とDIRECT研究
2005~07年、40~65歳で肥満、2型糖尿病、冠動脈疾患のいずれかを有する322人を対象に行われた有名な研究。2年後、低脂質食は平均2.9kgだったのに、地中海食は4.4kg、低糖質食は4.7kgの減量に成功していた。
地中海食を構成する食材のすごいパワー
近年、地中海食は和食と並ぶ世界最強の健康食と評価されている。秘密はその食材のパワーにある。見逃せないのは、調理にも味付けにも多用するオリーブオイル。 「抗酸化作用があり、パンやパスタなどの糖質も、オリーブオイルと一緒に摂ると血糖値が上がりにくくなり、食後高血糖が抑えられます」 主食は全粒粉のパンやパスタ。食物繊維が多く、やはり血糖値を上げにくい。さらに最近、小麦外皮のアルキルレゾルシノールに、血糖値の上昇を抑えたり、体内時計を調整したりする働きがあるとわかった。 主菜で多いのは魚介類。良質なタンパク源であり、青魚やマグロ類などは体内で十分合成できないEPAやDHAといった必須脂肪酸を多く含む。EPAやDHAは血液をサラサラにし、脂質代謝も改善する。 また、地中海食でよく食卓にのぼる野菜や果物は、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルが豊富。豆類やナッツも食物繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラルを偏りなく含む。
地中海食は元祖スローフードだ
ユネスコは、地中海食の大事な要素として「大勢でテーブルを囲み、ゆっくりとコミュニケーションを交わしながら、食事を楽しむ」という食事スタイルを挙げる。地中海食はスローフードの先駆的な存在なのだ。 そもそもスローフードは、地域の伝統的な食材を用いた料理を、みんなでスローに楽しむムーブメント。ファストフードと対照的な食事スタイルで、発祥は北イタリアだ。 南イタリアには地中海食の伝統が残る反面、経済的に豊かな北イタリアでは効率を重視する現代的な食事が広がり、それに対する反省として出てきたのがスローフードなのだ。 一人で黙って食べる孤食だと、話し相手がいないから、早食いになりやすい。すると血糖値が上がって食後高血糖が生じるし、食べ過ぎて太りやすい。 休日のブランチなどは、南仏や南イタリア料理のお店で友達とゆったり食事をしてみよう。そこでスローフードの良さが実感できたら、平日にも地中海食的でスローな食事を実践する機会を増やして。