出でよ!第2の山中慎介。画期的トーナメントが開催
プロボクシングの元WBC世界バンタム級王者、山中慎介(36)がアンバサダーとして大会にかかわる山中慎介バンタム級トーナメント( 仮称)の開催が12日、JBCで発表された。この日から募集が開始され、5月15日が締め切りで、出場条件は日本のジム所属のバンタム級で戦えるA級ボクサー。8人によるトーナメントで7月23日に1回戦、10月31日に準決勝、決勝は来年1月に行われる。優勝者には賞金100万円と世界ランカーとの対戦権が与えられ、DANGANの興行でマッチメイクされる予定。日本タイトル保持者の参加も呼びかけられており、多数の応募者が予想され、その場合、ランキング、戦績、KO率、アマチュア戦績などを加味して主催者が8人の出場者を決定することになる。 “出でよ、第2の山中慎介!”である。 会見に出席した山中は「現役復帰会見に出席ありがとうございます」と報道陣を笑わせてから、こう切り出した。 「バンタム級は、12度防衛した思い入れのある階級。僕自身嬉しい。メリットのあるトーナメント。勝って世界ランカーに挑戦できる。対戦が組みにくいところで、ガチで当たって、さらに世界を取る登竜門の面白いトーナメントになる」 かつてA級トーナメントという大会が開かれており、山中も現役時代に参加、優勝を遂げて日本タイトル挑戦の足がかりを作った、その大会が、その後、最強後楽園となり、現在、最強挑戦者決定戦となっているが、今回は、世界への扉を開き、バンタムの逸材を掘り起こす意味でトーナメント大会が企画された。 主催者、DANGANの古澤氏は「日本のバンタム級には歴史があり、名王者が生まれている。ファイティング原田氏から、辰吉丈一郎氏、長谷川穂積氏と、誰もが知っているチャンピオンが生まれた。そのバンタム級の次世代を作りたいと考え、バンタム級を象徴する存在の山中さんにお願いした。日本のボクサーには世界王者にならないと有名になれないという現状がある。選手層が薄くなってマッチメイクも難しい。でも、トーナメントだと、思い切って試合を組める。実力のある選手が、この大会で人気とストーリーをつけて有名になって世界へ行ってもらいたい」と、山中の名を冠にいだく、トーナメントの実施理由をこう説明した。関西や地方ではマッチメイクが難しく大手ジム所属でないと、なかなか試合機会を得られないという実情がある。全国へ門戸を開く、今回のトーナメントは埋もれた実力者がのしあがるには絶好の大会になるのかもしれない。 この18日には斉藤裕太(花形)と木村隼人(ワタナベ)の間で日本バンタム級王座統一戦が行われ、世界のバンタム級に目を向ければ、WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(大橋)が、IBF同級王者のエヌマエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と5月18日に英国グラスゴーでWBSSの準決勝として統一戦を行う。また一方で、山中が、昨年の3月に体重超過の反則行為を受けたあげくに破れ。引退に追い込まれたルイス・ネリ(メキシコ)が海外で復帰してWBCでランキングを上げており、そのWBCの暫定王者には井上拓真(大橋)が君臨している。山中氏は、日本のリングでは永久追放となっているネリの復活とランキング上昇を苦々しく思いながらも、井上兄弟のネリ退治に期待を寄せている。 「井上兄弟。とりわけ井上尚弥が圧倒的な強さを見せている。WBSSの優勝の本命でしょう。ネリ?体重だけは気をつけてもらいたい。1年経過して今は笑えるけど、あの時は笑えなかった。今回のトーナメントでも体重だけは気をつけてもらいたい」 山中慎介バンタム級トーナメントでは派手な開会式や、対戦相手の抽選など、これまでのボクシング界になかった画期的な数々の仕掛けが企たてられていく計画が練られている。