「二度と聞けないよね…」「正直、ウザかった」若い人はたぶん知らない!? 懐かしのキンコン音
今や過去の遺物? なぜキンコン音はなくなったのか
かつては当たり前のように耳にしていたキンコン音ですが、今ではこの音を聞く機会はほとんどなくなり、一度も耳にしたことがないドライバーも多いでしょう。 その理由は、速度警報装置の装備義務が廃止されたため。 速度警報装置の装備義務は、1986年に「道路運送車両の保安基準の一部を改正する省令」によって廃止されました。その理由は明記されていませんが、2つの理由があったとのこと。 まず1つ目は、海外から日本への自動車輸出に関する問題です。 キンコン音を発する速度警報装置は、日本固有の規制に基づくものであり、海外の車両には装備されていないものでした。 当時、日本の車検制度では速度警報装置が装備されていないクルマは車検に通らず、外国車を日本で販売するためには、この装置を取り付ける必要がありました。 速度警報装置を装備する手間とコストは、海外メーカーにとって日本市場にクルマを輸出する際に大きな障壁となっていたと言われています。 また、車両価格の高さや燃費の悪さ、販売店の少なさなどが原因で、そもそも外国車が日本で売れにくい状況にありました。 これらの要因から、海外(とくに米国のビッグ3)より日本独自の規制を廃止するよう強い働きかけがあり、結果として日本政府は速度警報装置の装備義務の廃止を決定したそうです。 そして2つ目の理由として、キンコン音の単調なリズムが運転中に眠気を誘う可能性があることも指摘されていました。 この音は一定の速度を超えると繰り返し鳴り続けるため、長時間の運転中にドライバーの集中力を低下させるリスクがあったと言われており、これも廃止理由のひとつではないかと考えられています。 このように、キンコン音は1980年代に日本の高速道路を走るクルマでよく聞かれた音でしたが、国際的な圧力や、運転中の安全性を考慮した結果、廃止されました。 いまや聞くことのできない懐かしのキンコン音は、過去の思い出として一部の人々の記憶に残り続けることでしょう。
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月刊自家用車編集部