「日本とロシアどちらが勝ったのか?」日露戦争を知らなかったトランプに見せた、日本政府の“大人の対応”…「もしトラ」に備えた苦渋の二股外交
これをすると一発アウトなトランプが最も嫌うこと
結果的に世界は「もしトラ」に備えるようになっています。予測するだけでなく、そうなった場合のために、すでに動き始めているのです。そうするとバイデン政権は1期目にしてレームダックになります。レームダックとは、ヨタヨタ歩きのアヒルという意味で任期の終わりに影響力を失った政権や政治家を指します。 つまり本来ならばバイデン政権がレームダック状態になるのは2期目の終盤なのですが、トランプが復活した場合のインパクトがあまりに大きいので、こうなってしまったのです。 2016年9月、当時の安倍首相はニューヨークに赴き、ヒラリー・クリントンと会談をしています。ここで安倍首相は、「再びお目にかかれてうれしい。私の政権が進めている『女性が輝く社会』にいち早く賛同の意を表明していただいたことにお礼を申し上げたい」と述べました。大統領選挙中に首相が候補者と会うのは極めてまれです。 外務省が当選確実と見たヒラリー・クリントンに、いち早く挨拶をしておいた方がいいとアドバイスしたからだといわれました。しかし結果は、ヒラリー・クリントンではなくトランプが大統領に決まったのでした。 焦った安倍首相は、トランプの当選決定の直後、ニューヨークのトランプタワーに出向いてトランプに会います。現大統領ではなく次期大統領と首相が会うのも異例なことでした。これはトランプにとっても大統領に決まって初めての外国首脳との会談になりました。こうして安倍首相がトランプの胸に飛び込むことによって、初期の失敗を帳消しにし、異例ずくめの日米首脳関係が生まれたのでした。 オバマ大統領と任期が重なった4年間で安倍首相は10回の電話会談を行っていますが、トランプ大統領とは30回に上ります。ゴルフも4回あり、令和になって初めての国賓もトランプ大統領でした。安倍元首相に近い人から聞いたのですが、トランプが最も嫌うのはマウントを取られることだそうです。上から目線でものを言うと、一発でアウトだそうです。
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