【児童精神科医が解説】「ウソ」を繰り返してしまう子どもたち、隠された本音を引き出す指導法とは
● 「人の気持ちがわからない子」の対応策 相手のことを思いやる共感性を育てるには? 我が子に思いやりがないと心配になった場合、対策として効果的なのが、まずは相手の表情を読み取る練習です。大前提として、相手に注意が向いていないと表情にも気づくことがありません。人と話をするときは、相手のほうに体や顔を向け、相手の目を見て表情をきちんと確認する練習を行うといいでしょう。 子どもの見る力自体をトレーニングすることも重要です。「コグトレ」(注1)の中から、ご自宅でもできる「見る力」を育てるトレーニングをひとつご紹介します。 まず、丸や四角、三角などの図形を子どもに見せて、その形を記憶してもらいます。一度記憶してもらってから図形を隠して、紙にその図形を描いて再現してもらいましょう。こういったトレーニングによって視覚性の単純短期記憶を鍛えることができます。 相手のことを思いやる共感性は、さまざまな経験を経ないと成長しないものです。現に大人であっても共感性を持っていない人はたくさんいます。共感性を高めるために肝心なのは、子どもに少しでも多くの体験をさせて、他人の気持ちを考えるシチュエーションを増やすこと。 そして何よりも子どもたちの見本となる姿を大人が見せること。そういった経験の積み重ねによって、道徳的な発達が促進されていくはずです。 注1 学校の先生から教わる各教科の知識ではなく、認知機能の要素である(1)記憶、(2)言語理解、(3)注意、(4)知覚、(5)推論・判断の強化を目的として「覚える」「写す」「数える」「見つける」「想像する」という5つのトレーニングを行っていくもの。
宮口幸治