【児童精神科医が解説】「ウソ」を繰り返してしまう子どもたち、隠された本音を引き出す指導法とは
● 「よく嘘をついてしまう子」の対応策 嘘をつかれたと感じたら「聞く力」をチェック もし子どもが「嘘をつくことが多い」と感じる場合、まずは「聞く力」をチェックしてみましょう。 たとえば、ランダムに1秒間ずつゆっくりと数字を読み上げてみて、同じ数字を子どもに復唱させてみてください。 6~7歳までは5桁、9~10歳までは6桁を復唱できるかどうかがひとつの目安になります。 同じように「たぬき、赤、リンゴ、飛行機」などといったように、1秒間に1個ずつ単語を読み上げ、同じ単語を同じ順番で正確に復唱できるかをチェックするのも効果的です。 こちらは、9歳までは4語、それ以上の年齢では5語以上復唱できることが目安になります。 子どもがあまり言葉を聞き取れていないと感じたら、何かの指示を出すときは、一文を短めに伝えてみたり、一度に何個も指示を出さないようにしてみたりと工夫しましょう。 また、こちらが伝えた指示を子どもがきちんと理解しているかどうかを確かめるために、どんな指示をしたのかを復唱してもらうのもいいでしょう。 もし聞く力に問題がない場合は、「もっと自分に注目してほしい」「叱られたくない」などの理由から嘘をついている可能性もありますので、その背景を慎重に探りましょう。
● CASE2「自分のことを棚にあげる子」 どうしてあなたは他人に厳しいの? 自分のミスには甘いのに他人のミスには異常に厳しいなど、言葉と行動が一致しないというように、言動と行動に矛盾が出やすく、周囲から誤解を受けやすい傾向にある子もいます。背景に境界知能やグレーゾーンがあるかもしれません。 誰しも自分のことは自分ではよく見えないものなので、子どもが自己評価を育てていくうえで他人との関わりは欠かせません。 たとえば、「あの人は私と一緒だと笑ってくれるから、あの人は私が好きなんだ」「あの人は私といると不機嫌そうだから、嫌われているのかも……」などといった他者の反応を見ながら、「自分はこういう人間なのだ」と自己を認識していくのです。 ただ、周囲の評価を正しく自分にフィードバックするには、正しい認知の力が必要です。境界知能やグレーゾーンの子どもの場合は、周囲の状況を見たり聞いたりする力が弱い子が少なくありません。 先生が自分をほめてくれているのにバカにされていると誤解したり、友達が自分の行動で傷ついているのに好かれていると勘違いしたりと、周囲の出すサインの受け取り方を間違えてしまうと、自分に対して適切な評価ができなくなってしまいます。 その結果、自分のことは棚にあげて他人を批判したりしてしまうのです。